約 527,514 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1089.html
近年野良ゆっくりの勢力が拡大してきた。 畑を荒らし食料を貪る野良ゆっくりは もはや山賊と呼ばれていた。 そんな幻想郷のある時代のできごと・・・ ・・・・・・野生のゆっくりが里の畑に忍び込んできた。 地上から、うーぱっくを経て空中から、 数十・・・いや、数百・・・。 繁殖期の後だからなのか、数は限りなく多かった。 「山賊が来たぞー!」 畑の持ち主と思われる男の声を合図に、畑の横の小屋から 十数匹のゆっくりが飛び出した。 小屋から出たゆっくりは、 リボンをつけたれいむ種でも、 金髪帽子のまりさ種でも、 その他のどのゆっくりでもない風貌をしていた。 上部に布をターバンのように巻き、目だけあけて下は また別の布で覆われている。 その風貌はまるで、人間の暗殺者のようだった。 「ゆっ!?」 「むーしゃ!えっ!?」 最も小屋に近かった野良ゆっくりが、 それらの接近を一番早く感じた。 スパッ しかしその瞬間、野良ゆっくりは上半分が宙を舞った。 「ゆ!ゆっくりがなかまをころしたよ!」 「ゆ!どうぞくごろしはわるいゆっくりだよ!」 「むきゅ!わるいゆっくりにはせいさいをくわえないとね!」 仲間がやられたことに気づいたのか野良ゆっくりたちは畑を荒らすのをやめた。 そして布に身を包んだゆっくりたちを攻撃し始めた。 「「「「ゆっくりしね!」」」」 まるで雪崩のように布ゆっくりに殺到する野良ゆっくり。 しかし、布ゆっくりはやられなかった。 むしろ野良ゆっくりが次々と餡子になっていく。 「ゆぎゃああああああああああああああああ」 「なんでええええええええええええええええええ」 野良ゆっくりたちはパニックになった。 大勢で責めれば勝てるはず そういう計画だったのかもしれない。 畑がだんだん餡子のじゅうたんに包まれていく。 「いだいいいいいいいいいいいいいいいいい!ぐぎゅ!」 運良くかすり傷で済んだ者も、痛がってる間に攻撃を食らってしんでいった。 布ゆっくりが強いのにはわけがあった。 ゆっくりとは思えない俊敏な動き。 躊躇せずに攻撃をする集中力。 そして何より、布ゆっくりはナイフを持っていた。 「これが・・・研究の成果ですか・・・。」 「長い研究が実を結び、ようやく夢を果たせた。」 眼下に布ゆっくりによる野良ゆっくりの虐殺を見下ろしながら、 小屋の屋根に立つ人間の男女が話している。 「それにしても、どうやって武器を口にくわえずに 持っているんでしょうか?」 女が言う。 「ゆっくりの餡子に手の役割を持たせたのさ」 「餡子に?」 「そう、研究の結果、ゆっくりの中の餡子は 同じように見えて、実は役割ごとに分かれていた。 人間でいう胃の役割をする餡子。 肝臓の役割の餡子。 脳の役割の餡子。 その中に人工的に作ったゆっくり自身が自由に操れる餡子を注入する。 その餡子は、ゆっくりの意思で形や硬度を変えることが出来る。 それを体から出すことによって、餡子を手のようにして使うゆっくり・・・ 目の前の布づくめのゆっくりが完成したんだ・・・。 お、終わったようだな。」 男がそういったとき、畑に侵入した野良ゆっくりは全滅していた。 「あれ?一人足りないな・・・」 男が言う。 「はっ!にげたさんぞくのいきのこりをおっていきました。 まもなくかえってくるかと・・・。」 布ゆっくりのリーダー格と思われるゆっくりが男に答える。 「すごいですね。 ゆっくり独特のゆったりした口調じゃなく 人間のようにはきはきと喋ってますね。」 「脳の役割の餡子を改造して教育したんだ。 もうこいつらの中でゆっくりな部分は体だけだろう。」 その後、畑の持ち主からお礼の食料を貰い、 畑中の餡子を取り除く薬品を渡して、 男は布ゆっくりと共に畑を後にした。 戦闘用のゆっくりを開発する。 それがこの男のしていた研究だった。 男はかつてゆっくり研究所で 研究のネタを探していた。 そんなある日、ゆっくりを観察するために 森に入った時に男は見た。 ゆっくり界で最強と謳われているドスを 口に刃物をくわえ、俊敏な動きで 一方的に攻撃し、仕留めたゆっくりを。 気づくとそのゆっくりは既に去っていった。 しかしその光景は男の研究意欲をそそるのには十分だった。 それから男による戦闘用ゆっくりの研究が始まった。 初めは武器を持たせたり、 教育を重ねていく方法を取ったが 最後は本能に負けゆっくりしたあげく 教えたことを忘れたりして中々上手くいかなかった。 そんな中、ゆっくりの餡子の秘密が解明された。 男はすぐさまゆっくりの餡子の改造に着手した。 まずは脳となる餡子に手を加えた。 仮死状態にしたゆっくりの頭部をくりぬき、 脳の部分の餡子だけを摘出した後 砂糖をかけたりシロップを混ぜたりして手を加え 餡子を戻してくりぬいた部分を治療し、 蘇生させて様子を見るという作業を何百回も重ねた。 そうして狂っているゆっくりや植物状態の脳死ゆっくりが出来たりしたが 苦心の末、ゆっくりするという本能を無くしたゆっくりを作ることに成功した。 これによって、教育しだいで無限の可能性を秘めたゆっくりが完成した。 男はゆっくり学会で表彰を受けたが まだ研究は終わっていなかった。 脳改造で戦闘意欲のあるゆっくりは出来るが 攻撃手段が乏しかった。 ゆっくりは手が無いので口で物をくわえる事しかできない。 それでは扱える武器などたかが知れている。 義手をつけるという案もあったが 重さゆえ耐え切れるゆっくりはおらず、 義手の重みで皆潰れていった。 悩んだ末、男は餡子に着目した。 内臓となり脳となるゆっくりの餡子。 それならば手の役割の餡子を加えれば、と。 餡子の開発は容易なことではない。 加える物質の分量が1mg違うだけで 大きく変化するのだ。 男は一年かけてゆっくりが自由に操ることの出来る餡子を開発した。 使い方はこうだ。 その餡子を注入した後、 注入に使った穴は閉じずにあけえておく。 こうすれば普段は餡子の手で穴を塞ぎ漏れることは無い。 武器を持つときは穴から餡子の手を出し、武器を包み固める。 後は餡子の手をぐりぐりと回せば武器を振れる。 その研究が完成した頃には、もう研究所は潰れ、 野良ゆっくりの襲撃でいくつかの里が消え、 多くの犠牲者が出ていた。 男は研究の成果である十数匹のゆっくりアサシンをつれ、 各地でゆっくりの襲撃を抑え、その報酬で生計を立てた。 「そろそろ、野良を殲滅するかな・・・。」 男がつぶやく。 「さとのちかくにすをかまえているさんぞくのみにしましょう ぜんぶころすとせいたいけいにえいきょうがあるかと・・・」 隊長ゆっくりが言う。 そんな会話をしながら、野良ゆっくりの巣のある方向へ足を進めていた。 ---------------------- 続く・・・かも ---------------------- 後書き 虐待ですらない研究日誌だこれ 初めて書いたのがこれでは先が思いやられますね ゆっくりアサシン~お兄さん遊び編 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/33.html
※ 議論 と 投票 により、メニューから外し、旧SSページに移転しました。 ここは職人がSSを書くため、パーツごとに分解した設定を置いています。読者用ではありません。 レゴブロックのように色々組み合わせて楽しいSSを作ってください。 ここにある設定はあくまで一例です。使用を避けることで斬新な物語を作ることもできます。 組み合わせによっては深刻な矛盾が生まれる場合があるので注意してください。 記載ルール 設定は出来るだけ具体的、かつパーツごとに分割して組み替えが効くようにしてください。出来れば反対の設定パーツも追加しましょう。 ここはスレッドの議論で固まった設定を保存しておく場所ではありません。そういったものを一切無視して新しいSSを作る時のためのパーツ置き場です。 基本の文体 基本となる設定その設定から更に一歩踏み込んだ設定 ゆっくりとは何か ゆっくりの中身 ゆっくりの食べ物 ゆっくりの餌の食べ方 ゆっくりの寝床 ゆっくりとの遊び 飼いゆっくりと世話の仕方 ゆっくりの身体的特徴 ゆっくりの大きさ ゆっくりの身体能力 ゆっくりの繁殖方法 ゆっくりのグループ構成・社会母ゆっくり 赤ちゃんゆっくり ゆっくりの暮らし方 ゆっくりの住みか ゆっくりの知能や思考、行動パターン 帽子や髪飾り ゆっくりの傷の治し方 他の生物がゆっくりを食べることについて 個体ごとの特徴基本 よく出る その他、こちらも積極的に使ってみて欲しい ドスゆっくり ゆっくりとは何か 「ゆっくり~」が口癖。「ゆー」や「ゆゆっ」と鳴く。 動く饅頭。原理は不明。野生のものが動物のような生態をもって生息している。 饅頭の妖精。親がいなくとも自然の中から生まれてくる。 食べられたいと未練を残した饅頭の霊。 魔法生物。モデルになった人間の髪と餡子・ひき肉から作った不思議な力で動く人形(ぱちゅコン方式)。 何でもありなフリーダムな生き物。 人間社会の一員として溶け込んでいる。運送会社に勤めている。 挨拶として「ゆっくりしていってね!」と言う。 ゆっくりの中身 食べ物によって餡を変化させることが可能(野菜を食べさせ続けて抹茶餡など)。 れいむ・まりさは小豆餡、ありすはカスタード、ぱちゅりは生クリーム、ゆかりんは納豆またはナチュラルチーズなど、種によって様々。 実は餡ではない? ゆっくりの食べ物 お菓子や甘いものを食べる。お饅頭が大好物。 砂糖水やオレンジジュースを飲むと体調が回復する。 辛いものが苦手。 草や花、ちょうちょ、お菓子などメルヘンっぽい物を食べる。 昆虫や肉など何でも食べる雑食。にとりなどの水中型ゆっくりは魚を捕って食べる。 虫や小さな鳥を好む肉食。その愛らしい姿と共に農家に大層愛されている。 何も食べなくても生きていける。 かまって貰うことが栄養源。他のゆっくりや人間と一緒にゆっくりすると元気になる。 ゆっくり幽々子・レティ・れみりゃ・フランは他のゆっくりを食べる。 光合成で栄養を得ている。 ゆっくりの餌の食べ方 食事はゆっくり舌ですくって床や自らの体を汚さず食べる。 その念力で触らずに物を動かして食器を動かして食べる。要気合。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」と言いながら食べる。 ゆっくりの寝床 野生のものは巣の中で仲間と身を寄せ合って眠る。 うーぱっくのダンボールにすっぽりはいって眠る。 ゆっくり用アパートなどがあり、町でも自立して生活する。 ゆっくりとの遊び フリスビーなどで遊ぶ。 花火などの子供が好むような遊びをすると喜ぶ。 文字通りゆっくりする事。日向ぼっこ等。 飼いゆっくりと世話の仕方 寝床座布団を敷いて眠る。 飼い主と一緒の布団で寝てもらう。 食事食べ終わった後に顔を拭いてあげる。 飼い主がゆっくりの下に新聞紙を敷いてあげて、一緒の食卓でたべる。 どうぶつなどがプリントされた幼児用のビニル皿を使う。 手渡しで口の中に放り込んであげる。 飼い主が膝の上に抱っこしてあげて、食べ物を口に運ぶ。 ゆっくりの身体的特徴 下膨れた顔が特徴的。鼻と耳は見当たらないが嗅覚・聴覚は正常に働いている。 体内に嗅覚器・聴覚器にあたる部分がある。 跳ねるように移動する。 ナメクジのように這いずって移動する。 転がって移動する。 常に空中に浮いている。 瞬間移動する。 何事もあろうと一切動かない。 長時間水に入っても全く問題ない。 長時間水に入ると水を吸ってぶよぶよに膨張して膨らむ。 長時間水に入るとふやけて脆くなってしまう。 ゆっくりにとりは自由に水中を泳ぎ回って魚を食べることができる。 弾力があって、手で押すと水風船のようにぽんぽんと跳ね返る。 もちもちしていて餡の重みがある。触ると柔らかくて気持ちいい。 ある程度の高さから落ちるとべちゃっと潰れる。 皮はそれほど強くなく、ハンマーなどで何度か殴打すると破れてしまう。 皮はものすごく弾力があり、よく伸び、刃物を使っても破るのに苦労する。特殊な技術が必要。 皮は手触りが良いくせにもの凄く頑丈で、破れたり切れたりする事は無い。 体調を崩すと皮が削れて薄くなってしまったような、危うい柔らかさとなる。 ほっぺを突っつくと上等のマシュマロの様な手触りがする。 触っている手を沈み込ませると、中の餡子は手ごたえが違う。少し固く、にゅるっとした手触り。 脱皮する。 ゆっくりの大きさ 赤ちゃんがタバコの箱より小さく、普通でバレーボール、母親でサッカーボール程度。 赤ちゃんがバレーボール程度で、普通で50cm程度、母親は1mを越えることも。 赤ちゃんれみりゃ(体付き)が7,5cmほどの大きさとなっている。 胎生妊娠中の個体は子供の分だけ肥大化する。 栄養状態や突然変異によって際限なく大きくなることもある。 ゆっくりの身体能力 人がゆっくり歩くよりまだ遅い。どうやって野生を生き抜いているか不明。 人間の子供と同じくらい。天敵から隠れつつひっそりと暮らしている。 その形状からは想像できないほど速い。 壁を転がることで7階と同じ高さから降りる。木に登る。野生を生きるに十分な能力。 餡子の重さを利用した樹上からの奇襲で首の骨を折られる事があるため猟師はとても慎重。 ゆっくりの餡子は人間で言うところの血のようなもの。内部の餡子が3割以下になると死ぬ。 餡子を吐き出すのは死の兆候。 ゆっくりの繁殖方法 すりすりすると頭から茎が生えて子供が実る。 卵生。片方が小さな卵を大量に吐き出し、もう片方が粘液を吐き出し受精させる。 振動で興奮したあと性交、悲鳴を挙げて朽ち果て、死骸から子が実る。 お互いに熟成したゆっくり同士の性交はゆっくり和やかな物でどちらも朽ちない。 どこからともなくやってくる。何処から来るのか誰も知らないし繁殖方法も分からない。 妖精のように自然に発生する。それをうーぱっくがコウノトリのように仲間のゆっくりのところに届ける。 分裂する。分裂して発生した個体は新たな意識を構築し親の意識は消滅する。 分裂して発生した個体全てが親と同じ構造の意識を構築する。 ゆっくりのグループ構成・社会 それぞれ同じ顔をした英雄の家に1匹ずつ+数匹程度しか居ない。 ゆっくりの数は少なく霊夢・魔理沙が50匹程度、それ以外は1~2匹ずつしか居ない。 ゆっくりの数は多く霊夢・魔理沙が数えきれない位、それ以外は100匹ずつ位。 種類の違う友達と3~4匹の小さなグループを作る。 お母さんと赤ちゃんで構成された家族を持つ。 ゆっくり同士でのコミュニティを持ち、種類の違う仲間同士で協力している。 単独で生息している。 ゆっくりは妖精の一種なので、普段は妖精と一緒に暮らしている。 人間と一緒に暮らしている。種属の違う隣人のような感覚。 母ゆっくり 子供達を心の底から愛し、最後まで子供を守る優しいお母さん。 赤ちゃんゆっくり 無邪気で舌足らず。おちょこでお風呂に入り、タオルの上を転がって体を拭く。 人の服のポケットに入って一緒にお出かけするのを好む。 ゆっくりの暮らし方 咲夜さん→れみりゃのように溺愛している人の家にいる。 人間に飼われている。 人畜無害な草食動物、森の奥でひっそりゆっくり暮らしている。 人畜無害、どんな苦境にも動じずゆっくりしている。 饅頭の妖精なので、妖精と共に暮らしている(妖精設定の場合の一例)。 ゆっくりの住みか 朽ち木のうろ等を一時的な雨よけとして利用することはあっても特定の巣を持たない。 数人の種類の違う仲間といっしょに、ゆっくり出来る場所を求めて一緒に移動している。 自分で掘った穴や、岩盤の横穴に親子で一緒に住んでいる。 博霊神社、霧雨魔法店、紅魔館など同じ顔の英雄が住んでいるところに同居している。 木の上にロープを渡してハンモックにする。草の家を造るなど樹上で暮らしている。 ゆっくりとできる場所をゆっくりポイント(もしくはプレイス)と呼んで、ゆっくり達にとっては何よりも大切な場所となっている。 その辺に適当に湧いている。 人間の大工によって住処を提供させてもらっている。 幻想郷のどこかに"ゆっくり村"という小さな村がある。 ゆっくりの知能や思考、行動パターン 素直な子供のようで人を疑うことを知らず、思いやりもある。一人寂しく生きていた老人にゆっくり寄り添って彼の人生の最後を優しく看取る。 仲間の危機になると自分の身を顧みず勇敢に立ち向かう。 恩を受けたら、忘れた頃に恩返しにやってくる。 饅頭なので、他の生物に食べられる。 きれい好きで家に入る時は泥を落とし、食事はゆっくり舌ですくって汚さず食べる。 入浴を好み、小さいゆっくりは目を離すと人間のおちょこの中にすぐ入り込む。 人間同士の恋愛の手助けをするキューピット、略してゆーピット。 家を失った人に対して自らの家へと招待して、あの口癖で歓迎する。 良いことだけを記憶し、嫌なことや悪いことはすぐに忘れてしまう。ポジティブ。ゆっくりできない(自分の要求が受け入れられない)とすぐ大泣きして逃げる。 怒るとほほに息をため、風船のように球状にふくらんで威嚇する。その際にほほを押すと空気が抜ける。 少しうざったいけど悪い子じゃない。 人間の敷地内にゆっくりできる場所を見つけると、礼儀正しくお願いをしてゆっくりしていく。その後お礼を言って帰っていく。 人間と同レベルかそれ以上の思考能力を持つ。 知恵を持つゆっくりは長命種と呼ばれ、常に薄笑いを浮かべ「おおこわいこわい」を口癖とする。 あまり物覚えはよくない。それ故に失敗を繰り返す事もある。 訓練すれば二桁の足し算引き算、九九ぐらいは覚えるが割り算は覚えられない。 大人であればひらがな程度は読め、子供でも人間に訓練されれば読める。野生のゆっくりに文字という概念はない。 生まれたときから成体に近い知能を持つ。 ゆっくり文字というゆっくりのみに通用する文字が存在する。 帽子や髪飾り 結構おしゃれ。自分の持っている帽子や髪飾りを大事にする。 一個体に一つしかないので、心から尊敬・信頼する相手のみにこれを預ける。信頼の証。 何かの事故で無くしてもしばらくしたらいつのまにか復活している。でも粗末に扱わない。 一個体に一つとは限らない。親兄弟並に信頼できるゆっくりには信頼の証として装飾した予備をあげる。 ゆっくりの傷の治し方 大きい傷は小麦粉ペーストで傷を埋める。 砂糖水やオレンジジュースで回復する。 失った餡の代わりの餡を詰める。 ほうっておけば自然治癒。弱い分再生力が高い。 他の生物がゆっくりを食べることについて 普通に嫌がる。痛覚があるため、食べようとすると逃げる。 ゆっくりさせてくれた人に対しては自らの餡を差し出して恩返しする。その餡は恐ろしく甘く、一口ほどしか食べられたものではないが、どこか胸に響く。 好きな人に対してのみ食べられることを望む。 ゆっくりの餡子は嫌いな相手(敵)には苦くてまずい味となって自衛して、逆に好意を持った相手には甘い味を出す。相手の事を好いていればいるほど甘くておいしくなる。 食べられようとすること誇りに思い、自ら進んで体を差し出す。 そもそも野生のゆっくりはおいしくない。人の愛情を受けることによっておいしくなるので、野生の動物や虫に襲われない。養殖>天然。 皮が恐ろしく頑丈なゆっくりは基本的に食べられる事が無い。 「さあ、おたべなさい!」と宣言して真っ二つに割れる。食べないでいると「たべないと…ふえちゃうぞ!」と宣言して、それぞれ再生して二体になる。 個体ごとの特徴 基本 まりさ 友達思いで行動力のあるリーダー。仲間のために自分が犠牲になることも。 帽子に乗って川渡りとか出来る。 好奇心旺盛。 「なのぜ!」 紫の帽子で「ゆふふ…」と笑うまりさもいる。 れいむ 純真無垢で人を疑うことを知らない優しい子。 全てにおいて標準。 髪の毛が紫のれいむもいる。 ぱちゅりー 「むきゅー」 病弱だが知識は他のゆっくりより高く、群れのブレインを勤める 。 餌に毒を入れて侵入者を撃退する一方、ゆっくり同士の争いを仲裁することもある。森の賢者。 本を読むことを好み(内容を理解しているかは不明)、他のゆっくりを集めて授業を行い、様々な知識を与える。 きめぇ丸 独特の表情と「おぉ、こわいこわい」等の台詞が特徴。恐ろしく速い。 ニヒリストのように振る舞う。でも実は、ちょっとシャイなだけかも。 れみりゃ 基本的に「うーうー」と喋るお嬢様。希少種だが紅魔館付近には多く生息する。 言うことを聞かない我侭っ子。ちょっと都合が悪くなるとすぐ咲夜に助けてもらおうとする。 飽きっぽいところがあるが、畑に種をまく等の手伝いをすることも。 体付きの個体はよく踊る。 ふらん 他のゆっくり(特にれみりゃ)をいじめるのが好き。 めーりんとは仲がいい。 れみりゃによくなつき、まるで姉のように頼りにしている。 素直で礼儀正しく、意外と気が弱いところがある。 ありす 「とかいは」を自称しプライドが高いが、ツンデレで面倒見もいい。 考えてることの逆を言う習性があるようだ。 青いリボンをつけた小さい個体もいる(「ろりす」と呼ばれる)。 みょん(ようむ) 「ちーんぽ!」 まれに半霊を連れているタイプもある。 語尾に「みょん」と付けたりする。 ちぇん 素直。「わかるよー」「わからないよー」等が口癖。 猫と非常に生態が似ており、高いところから落ちても平気だったり、すばしっこい。 ゆゆこ 巨大だが俊敏。恐るべき速度で移動しながら捕食する。 大食い。胃袋は宇宙。 手足が着いた「ゆーびぃ」という亜種もいる。 しずは、みのりこ おりきゃらと呼ばれる事に納得がいかない。 あきしまい。ただし秋でなくても目撃されることがある。 登場頻度は驚くほど高い てんこ ブロントさん。 痛みを快楽として認識している。放置プレイも好き。 「てんこもかまってね!」 のうかりん 田舎に住んでいる幽香の母親。時々収穫物を幽香に送る。 スレ住民にらっきょうを育てる方法を教えてくれる。 よく出る にとり 水中でも生活できる。 機械が大好き。機械を与えるとそれで遊び始める。 ゆうか 綺麗な花が咲く所によく見られる。 植物を育てる事でゆっくりする。 長髪で寝坊しやすいゆうかもいる。 らんしゃま(らん) ちぇんを見ると可愛がる事が多い。「ちぇぇぇぇぇん!!!」 油揚げや稲荷寿司が好物。 ゆかりん 体が柔らかく、狭いところにも簡単に侵入できる。 加齢臭(または少女臭)と呼ばれる独特の体臭を持つ。かなりキツイらしい。 りぐる 蛍みたいに綺麗な川辺を好む。 ゴキブリみたいに移動する際にカサカサ音がする。 めーりん 「じゃおーん」と鳴く。喋れても良い。 昼寝を好むがさくやに邪魔される事もある。 ちるの 「あたいさいきょー!」「あたいってばゆっくりね!」 ゆっくりの中では頭が回らない傾向があるがくしゃみで物を凍らせる事も。 一定の状況下でゲル状になる。元に戻る事もできる。 「テルヨフ」に似たちるのを「チルノフ」と呼ぶ。 れてぃ 巨大で鈍重。素早く動く舌で器用に獲物を捕る。頬に獲物を溜める性質も。 どこからともなくできたてのチキンラーメンを出す。方法は不明。 その他、こちらも積極的に使ってみて欲しい さくや 「~ですわ!」 れみりゃ等の紅魔館に所属するモデルのゆっくりと共生する。 体からプリンを出す事ができる。方法は自由。 めーりんの昼寝を邪魔する事が多い。でもそれは構って欲しいかららしい。 るーみあ 「ゆっくりなのかー」食いしん坊。 だいちゃん 世話好き。 こあくま(こあ、こぁ) ぱちゅりーが召喚する。 ぱちゅりーの仕事を手伝う。 れみりゃザウルス 体付きれみりゃが怪獣の着ぐるみを被ったような姿。 「ぎゃおー!!!たーべちゃうぞー!!!」 うーぱっく、さがわうーびん 段ボール。 飛ぶのがうーぱっく、車輪付き(羽無し)がさがわうーびん。 普通のれみりゃが箱などを提げているタイプのうーぱっくもいる。 ゆっくりやゆっくりの餌などを運ぶ。 みすちー 「ちんちん」と鳴く。決して下品な意味ではない。 歌うのが好き。 けーね 他のゆっくりに物事を教える事を好む。 喧嘩が発生したら得意の頭突きで喧嘩両成敗。 てゐ いたずらっ子。 語尾に「うさ」が着く時は嘘をついていることが多い。 うどんげ(れーせん) 他のゆっくりより臆病。目で外敵を混乱させる事も。 耳が外れてしまうことがある。 えーりん 頭がいい。 かぐやとよく一緒にいる。 かぐや(てるよ) あまり動かない。本当にゆっくりしているとも取れる。 のんびり屋。 体付きは「テルヨフ」とも呼ばれる。 もこう 無理やり触ろうとすると高温を発するので火傷する。死んでも生き返る。 「とらうまになるよー!」 ぷりずむりばー三姉妹 るなさ長女。 凹みやすい(心理的な意味で)。「ゆっくりしたけっかがうつだよ…」 めるらん次女。 「めるぽ!」と言ったらガッしてあげると喜ぶ。 りりか三女。 めでぃすん(めらんこ) 体内に毒を持ち、食べようものなら腹痛に襲われる。 あや(あやや) 鳥みたいな生態を持つ。頭のかざりの白い物体は卵だったりする。 卵のうちいくつかは無精卵で子供の共食いを防ぐ。 一定の状況下で前述のきめぇ丸と化す。二つの状態を巧みに使い分ける。 こまち 昼寝とお話する事を好む。 めーりんと気が合う。 えーき 「よいぞっ!」「らめぇ…」 すいか お酒大好き。 ひな 常に横回転している。厄を集めているかは定かでは無い。 さなえ 献身的。奇跡を起こす事ができる。 礼儀正しい。「ゆっくりしていってくださいね!」 かなこやけろちゃんを世話している。 れいむがかなこの布教(洗脳)を受けると変化する。 かなこ 御柱を自由自在に扱う。注連縄で浮く事も。 注連縄はドーナッツ。 ゆっくりに布教活動(洗脳)する。 千歳飴のオンバシラ。 すわこ 「あーうー」「けろけろしていってね!」 水中でも生活できる。 いく 「ふぃーばー!」 雷を呼ぶことができる。 地震を予知できる。 きすめ 狭いところが好き。桶やバケツを住処として好む。一番は木の桶。 おとなしい。 やまめ 糸を出す。 ぱるすぃ(ぱるしー) 嫉妬深い。 ゆーぎ お酒大好き。 さとり 相手の考えていることがわかる。 こいし 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!」 おりん ちぇんじゃないよ! 「おりんりんらんど、はっじまっるよー!」 おくう(うつほ、うにゅほ) 温泉卵が好物。 みま スモークチーズが好き。 けーねを見ると逃げる。 しんき けーねを見ると逃げる。 ドスゆっくり ドスまりさオリジナルは砂越天さんの漫画とイラスト。 神様とか精霊の域。もしくは森の守り神。トトロのようなもの。 見上げるほどの巨大なゆっくり。大きさは各自お好みで。( 参考 ) 数あるゆっくリーダーの中でも最も努力家で面倒見が良いゆっくりである。 普段は優しく、人間の子の面倒を見ることもあるが、いざ群れに危険が迫ると巨体を生かした強力なボディプレスや特殊なキノコを燃料とした光線(一般的には「ドスパーク」と呼ばれることが多い)を口から吐く事で応戦する。 ドスまりさの巣である洞窟内では、生えている幻覚キノコを噛み砕いて霧状に吹き散らしたり、洞窟の壁を利用した反射体当たりで攻撃するなど、地の利を生かした戦法を取ることが確認されている。 後頭部に付いている小さなリボンは、群れのゆっくり達がドスまりさにプレゼントした物で、リボンを数や結び方でドスまりさの年齢や群れの質、ドスまりさの信頼度を見る事が出来る。( 参考 ) ゆっくり達のリーダーであると同時に移動式の巨大な住居でもある。寒い日は髪の毛にくるまり、雨の日は帽子に入ることで、ゆっくり達は何時でも快適に過ごすことが出来る。 ドスまりさ式たかいたかい で相手をポンポン飛ばして一緒に遊んであげる。このとき、人間であることを言わないと落ちたときに危ない。 ゆっくりさせる程度の能力を持つ。どんな凶悪な人間に対してでも、この能力を使えば、相手は戦意を失ってゆっくりしてしまう。 他にもドス程の大きさを持つゆっくりは特別な名称で呼ばれることがある(ビグれいむ、クイーンありす、ラオめーりん、きめら丸、ティガれみりゃ等)。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/860.html
前 喫茶店で昼食を済ませた後は、適当に町をぶらついた。特に事件も無く、ゲラ子の耳を結んで遊んでいた悪ガキに拳骨をくれてやるくらいだった。 日が沈んできた頃、そろそろ自宅(事務所)に戻って夕飯を食べて、日誌とお上への報告書でも書いて寝ようと思い、喫茶店のドアを開けた。 朝からずっと入り浸っているのがいれば、紅茶やコーヒーで酔えるのか顔を紅潮させているのもいる。 「よぉ、儲かってるねぇマスター!」 「ケッ、人数の半分も儲けてねぇよ」 「この町も経営が乗ってきたんだ。もう少しの辛抱さね。オーダーはカレーとニンジンにするわ」 この町で取れる様になった鉱石は高く売れるのだが、最近まで掘削の費用がかさんで金欠状態になっていた。 道具も技術も確立し、商売先も安定したのでそろそろ町人の懐が温まってくるだろう。 都市の人間はここの町人を賊を見る様な眼で見るが、私にゃ人情深くて良い連中だ……と思う。 育ちが良いからってエバるし、こっちより肥えてる癖にツケの一つも許しちゃくれない。 「へい、お待ち!」 カレーとニンジンスティックとトマトサラダが運ばれてきた。ゲラ子はサラダを指差し笑いだした。 「カレーとニンジン以外の金は払わないよ」 「そのサラダはゲラ子ちゃんに俺からの奢りだ」 『ゲラゲラゲラゲラ!』 ここのマスターはゲラ子にだけは甘い。どんな客でもツケはするが、奢りはしなかった。 当のゲラ子も気に入っているらしく、私を除けば唯一懐かれている人物だろう。 調子付いてきたのか、私を指して笑いだした。流石にカチンときたから大きくあけたスイカ口にカレーを突っ込んでやった。 『~~ッ!? ~~ッ!!』 「ゲラゲラゲラ!」 ゲラ子は声にならない叫びを上げながら、ゆっくりらしからぬスピードで走りまわった。 それに対し、私はお株を奪ってゲラゲラと指差し笑ってやった。周りもつられて笑いだし、一気に賑やかになった。 「そういやお前ぇ宛てに『ゆービン』が来てたぜ」 「私にゆービン?」 ゆービンとは、主にうーぱっくなどの空を飛べる種のゆっくりによる輸送法である。まぁ、手懐けやすさからうーぱっく以外に運び屋は務まらないだろう。 何でも、手紙などをビンに入れて運ばせたことが由来だとか…… ビンには粘土で栓がしてあった。中身は、古くなりすぎて触るだけで崩れそうな紙で書かれた手紙だった。 「何々? “けさわめゐはくおかけてすびはせんでした。おわびがしたぃのでもりまできてください……まりき”」 どうも、今朝のまりさかららしい。ただのならず者だと思ったが、誠意を表わしたいのなら無碍(むげ)にするわけにもいくまい。 それなりに知識もあるようだし、誠心誠意謝ってくれるのなら傷も目立たぬようにしてやるかな。 少量のお菓子と各種薬品を持参することにした。 「ゲラ子は留守番してな」 『ケラケラケラ』 「今日は満月だろう?」 『ゲラゲラゲラゲラ!』 留守番という言葉に疑問を覚えた様だが、すぐに理解したことを表す笑い声を上げた。 このゆっくりれいせんという種は満月の夜に最も活発に行動するらしく、いつも餅つきをするのが決まりになっていた。 軽く身支度をすると、マスターに留守を頼み出発した。 ―――ふもとの森 この森には薬草を採りにゲラ子を連れて何度か来たことがある。ゲラ子はあれで、薬草のことについては町の誰よりも詳しかった。 村からそんなに遠くない場所ではあるが、用もないのに来るにはかったるい。 そんな位置に森は存在した。入口には記憶に新しいまりさが震えながら待っていた。 捕食種が存在しないとはいえ、日が落ちてからも巣に戻らない姿勢はすごく真摯に見えた。 『ゆゆ?おねえさん!きてくれたんだね!!』 「ああ、悪いゆっくりをたくさんしょっ引いてきたけど、お詫びがしたいなんてのは初めてだからねぇ」 『まりさのおうちにしょうたいするよ! ゆっくりついてきてね!!』 「ああ、良いよ。運んであげるから道だけ教えてね」 それからしばらくの間、まりさの世間話(主に自慢話)を聞きながら指示どおりに歩いた。 だんだんと自分の知らない道にそれ、どんどん森の深くまではいって行った。 まりさが会話の中で、これからはこの森のみんなと一緒に暮らすことにしたと言ったところで、その事に気づいた。 『おねえさん、あたまのきずがいたむの。なんとかならない?』 「傷は残っちゃうけど、これを塗れば痛みは引くわ」 ズボンに取り付けている薬品入れから、青いチューブの軟膏を取り出した。 「帽子が邪魔だから、持ってるわよ?」 『ゆ・ゆ・ゆ♪ゆーゆーゆー♪ゆ・ゆ・ゆ♪』 薬を塗ってもらえるのが嬉しいのか、まりさは独特なリズムで歌い始めた。 ゲラ子以外のゆっくりの歌を聴くのは久しぶりなので、新鮮な気分になった。 ハテ?どこかで聞いたことのあるリズムだな。記憶の奥底に何か引っかかる物がある。 軟膏を塗ってやっている時、周りの茂みからガサガサと生き物の気配がした。 『『『『ゆっくりまりさをはなしてね!!』』』』 「お?おぉう?」 『『『『さっさとばうしをかえしてあげてね!このおばん!!』』』』 「な、なな……!?」 一斉に私を囲むようにして飛び出してきたのは、ゆっくりの群れだった。しかもそれぞれ前科者の傷を負っていた。 不意に頭に鈍い衝撃が走り、その場に倒れこんでしまった。何が起こった? 霞む視界の中で確認したのは、ゆっくり種の中でも重量級であるれてぃと帽子をかぶったまりさ。 『ふん!おばさんばかだね!!まりさにかてるとおもったの!?』 おまえは何を言っている? 『まりさのいったとおりにんげんってよわいでしょ! けさもみのがしてあげたのにのこのこしかえしにくるなんてほんとうにばかだね!!』 見逃してあげただって? 私はお前が詫びたいからと、手紙を受けたからここに来たんだぞ!? 『みんなでいけば、あのこぎたないまちをまりさたちのゆっくりぷれいすにできるよ!!』 『あそこにはにんげんにしたがってるぐずのゆっくりたちがいるからどれいにしようね!!』 私の故郷であるあの町が小汚い!? 人間と共存しているゆっくりたちが愚図だって!? 「お、お前……何を―――」 『しぶといばばあはえいえんにゆっくりしていってね!!』 上手く呂律が回らないうちに、まりさは口から煙幕の様な物を私に吹きかけ、続いて森中に響く程の口笛を吹いた。 間もなく、空が黒い影で覆い尽くされた。 『『『『『『うー♪うー♪』』』』』』 今まで見たことが無いほどのうーぱっくの群れだ。 既にゆっくりを積んだ者は、町の方へ飛んでいく。 私の鞭ならば、まだ叩き落とせる。 「このぉ――」 何とか起き上がり、鞭を振るおうと構える。 ……が膝がガクリと折れた。 しまった……この森には人間にも麻酔効果のある薬草が群生している。 揮発性が高く、主に嗅がせて使うものだが、それなりの知能を持ったゆっくりならば効能も知っていただろう。 しかし、目に見えるほどの濃度の使用例は聞いたことが無かった。下手したら二度と覚めない眠りに落とされるかもしれない。 「く、クソォ……」 死に物狂いで這い出し、ようやく煙幕から抜け出した。 まだ体中に痺れが残っていたが、持ち合わせていた気つけ薬で意識を失わぬ様にしながら町へと急いだ。 すでに第一陣のうーぱっくは町に降下していた。 「チクショウ……チクショウチクショウ! 間に合ってくれぇ!!」 思わず情けない声が漏れてくる。 いかにゆっくりと人間だと言っても、出だしで遅れ、慣れぬ道、不自由な体とハンデが揃っては勝負にならなかった。 他の者が心配でないと言えば嘘だが、町に残してきたゲラ子のことで頭がいっぱいになっていた。 ―――廃炭鉱町 恒例となった餅つきは、町の中央の広場でやることになっていた。 町の住人もこの時ばかりは、この広場に全員集まっていた。 それがアダとなり、町を外側から囲むように降下してきたゆっくりに気付くのが遅れてしまった。 例のまりさが指揮を執り、各地にあるゆっくり舎を占領し、労ゆっくりを人質に取った。 町人たちが異変に気づいたのは、人質の半数を引き連れたゆっくりに囲まれてからだった。 「お、遅かった――」 肩で息をしながら町にまで辿り着いた私は、その光景に目を疑った。 ならず者ゆっくりが町の施設を占拠し、真面目な労ゆっくり達を奴隷の様に扱っていた。 その中でも喫茶店は酷いものだった。 『れいむたちはおなかがすいてるんだから、ゆっくりしないでさっさとたべものをもってきてね!!』 『そんなことをしたらまちのひとがこまっちゃうよ! ゆっくりりかいしてね!!』 『ゆゆっ!?うるさいよ!ばかなにんげんたちのみかたをするやつはゆっくりしね!!』 『やっやべてびゅ!!』 『どうじでごんなことするのぉぉぉ!』 食べ物を催促し、逆らう者に罵倒を飛ばす者。 皿を割って遊ぶ者。 フォークで労ゆっくりを突き刺して笑う者。 様々な方法で、傍若無人に振舞っていた。 ふと、見覚えのある皿が目に付いた。 『ゆゆ? このおやちゃいはなぁに?』 『これはさらだっていうりょうりよ!とまとをつかってるからとかいではとまとさらだっていうわね!!』 『『む~しゃ♪む~しゃ♪』』 『あんまちおいちくないね!』 『いなかもののおろかでぐずなにんげんのにおいがするからよ!!』 『『ゲラゲラゲラゲラ!』』 小食なゲラ子のために、棚にとっておいたトマトサラダを赤れいむと親ありすが咀嚼していた。 途中で私の存在に気付いたらしく、旨そうに喰っていたにもかかわらずにサラダの皿を蹴落とした。 さらに二匹揃って、それに唾を吐き、こちらに嘲りの表情で大笑いした。 やめろ…… お前らみたいなド畜生が、ゲラ子と同じ様に笑うんじゃない! 私の中で何かが切れた。 床にぶちまけられたトマトが、張り付いた様に視界が真っ赤に染まった。 鞭をしならせ、眼前の二匹に向かって振るう。距離が離れていたが、先端がかすめるだけでも十分に致命傷だ。 『そのふたりにけがをさせたらこどものいのちはないよ!!』 ビシィッ! 背後からの声に我を取り戻し、鞭の軌道を曲げた。二匹の頭を掠めた鞭は側面の壁を抉った。 白目を剥いてガタガタ震えているが、二匹にケガはない様だ。 振り向けば、巨大れいむが昼の悪ガキの上に圧し掛かっていた。 『ぐずでおろかなおばさん! むだなていこうはやめてきりきりあるいてね!!』 巨大れいむの上に例のまりさが乗って支持を出した。 まるさが跳ねるたびに、呻き声が聞こえた。 指示通りに進むと、広場に出た。町人はみな広場の中心に集められていた。 本来ならば進化したとはいえ、ゆっくり如きは簡単に駆除出来る屈強な連中だが、私のせいで手を出せないでいた。 ゆっくりーだーのいる市町村の住人(ゆっくりを除く)は基本的に、許可が無ければ駆除することができず、あくまで悪いゆっくりを生け捕りにしなければならなかった。 その許可も私がお上に申請して、数日かかる。ルールを破れば全てゆっくりーだーの責任となる。 愛好家や労働力として重宝される様になってから、加工所としての資源の不足を補うための措置である。 周囲には理不尽な暴行を受け死んだのであろう、労ゆっくりの死骸が散らばっていた。 その中にはちらほらとならず者ゆっくりの残骸も混じっていた。 町人がやったので無いのならば、半ベソを掻いているゲラ子が手に持っている杵でやったのだろう。 衣服はボロボロで傷だらけ、肩で息をしながらも生き残った労ゆっくり達を守るように、杵を両手に仁王立ちをしていた。 助けられたのは二、三匹だけの様だ。 「お疲れさん、ゲラ子。あんころ餅はいくつできた?」 『ゲラ!ゲラ!ゲラ!』 「そうか三つかぁ」 周りのゆっくり達には数でやられたのだろう。 ゲラ子の頭を撫でてやる。髪の毛もバサバサになってしまっていた。 とりあえず応急処置をしてやろうと、先程の軟膏のチューブを取り出した。 『おばさん!なにかってなことしてんの!?ばかなの?ひとじちがいることをわすれないでね!!』 「こいつは怪我をしている。同じゆっくりなんだから治してやってもいいでしょう?」 『そんなゆっくりできないやつをまりさたちといっしょにしないでね!!』 「せめて人質を放してやってくれないか?」 『じゃあおばさんとげらげらうるさいやつのどっちかがしんだらはなしてあげるよ!!』 遠まわしに言ってるが、ありゃ私とゲラ子で殺しあえと言っているに等しかった。 せめて人質さえ取り戻せたらと思い、質問したが墓穴を掘ってしまったかな? しかし、追い詰められている時に限ってまともな考えが出てこない。 了承する前だと言うのに、既に町中の野良ゆっくり達は私とゲラ子の周りに集結していた。私達に選択権は無いらしい。 「絶対に何とかするからこれから何が起こっても、私とゲラ子、そしてこの野良達に手を出すんじゃないよ!」 グイグイと円の中央へ追いやられる私は、最後に町人達に釘を刺した。 日ごろの行いが良かったお陰か、みんな私の言う言葉に静かに頷いてくれた。 少し離れた所にゲラ子が杵を構えて、ガタガタ震えていた。 「ゲラ子ぉ~あなたは私の力を知ってるよねぇ~」 『―――!』 私は薬品入れから、黄色いテープが貼られた小瓶を取り出し、これ見よがしに握り割った。 野次馬のゆっくり達はそれを見るなりザワザワと、震えだした。 ゲラ子は対照的に、震えが止まった。 他のゆっくり達にはともかく、ゲラ子は気づいてくれたようだ。 『ごたくはいいからさっさとはじめてね!!』 痺れを切らしたまりさの怒声が、合図となり二人同時に飛び出した。 ビチィッ! ドゴォッ! 一瞬の出来事だった。 そこに立っていたのはゲラ子だ。 振るわれた鞭より早く、杵が頭に命中したのだ。 「うげぇ……」 情けない呻き声が口から洩れる。 私は力なく、ドサリと崩れ落ち、意識が遠のいていった。 『ほんとうにしんでるかたしかめてね!!』 巨大れいむの上から見下ろしていたまりさが下のゆっくり達に確認を取らせる。 何匹かのゆっくり達が恐る恐る近づき、つついたり、かじったり、上に登って跳ねたりした。 仕上げにれてぃを上から落としても無反応だ。 『『『ほんとうにしんでるよ!!』』』 うれしい誤算だ。 首謀者のまりさはニヤリと口元を歪めた。 朝の仕打ちを見る限り、勝つのは人間だろうと思っていた。 制圧する上で最も邪魔な存在が消えたのだ。 残ったのは笑うしか能がない愚図に、まりさたちに手を出すことができない町人。 あさやられたのはたまたまだったんだ! まりさよりつよいやつはいないんだ!! もうここは、まりさたちのゆっくりプレイスなんだ!!! 『ふん!なにが“いちばんつよいのはわたしなのよ”だ!まりさよりよわいくせに!!』 『みんな!もうここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!!』 『うーぱっくもここをすきにしていいよ!!』 『おろかなにんげんはさっさとでていってね!!』 物言わぬ死体に罵倒し、その上を誇らしげに跳ねた。 まりさが『じぶんのまち』宣言を上げると、ゆっくりたちは町人を追い出すようにジリジリと町の入口まで追いやる。 報酬を待ちわびていたうーぱっくの群れは、ようやく畑として実り始めた作物に向かって飛んでいく。 『『『『『『うー♪うー♪』』』』』』 ヒュン―― 『『『『『『う゛ー!う゛ぁぁぁああ!』』』』』』 空を切る音と共に、うーぱっく達の断末魔の叫びが響いた。 『ゆゆ!?』 まりさが振り向き見たものは、正に地獄絵図だった。 五十匹近くのゆっくりを運んだうーぱっくは、目標である畑が近かったので低空飛行をしていた。 そのことごとくが、黒い旋風に細切れにされ、叩き落されていた。 旋風を起こしていたのは先程死んだはずの人間だった。 いや、鎌こそ持っていないがあれではまるで妖怪の…… 『かまいたち……』 「ゲラゲラゲラゲラゲラ!」 『ゲラゲラゲラゲラゲラ!』 女はうーぱっくを切り刻みながら笑い、ゲラ子は狼狽するまりさを指差し笑った。 ゲラ子の眼は紅さを増し、怪しい眼光を湛えていた。 うーぱっくを打ち落とし終えた女が、ゆっくりと振り返り目が合った。 口は三日月の様にニュッと歪み、眼はゲラ子と同様に紅く光っていた。 『どぼじでいぎでるのぉぉぉ!?』 目先のことしか見えぬゆっくり達には一生分かるまい。 先ほど砕いた薬瓶の中には、このまりさも使用した麻酔が入っていた。 適量のそれを吸い、死体の演技をしていたという訳だ。 『み゛んな゛かたぎをうづよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!』 まりさは震えを抑え、指導者としての最後の号令を出した。 『う、うそだぁ……』 『ゆ゛ぅ、ゆっぐぢぢゃぢぇでぇぇえ!』 『あがぢゃんは、ばびすぐぁまもるがらねぇぇ!!』 今まともに動いている野良ゆっくりは三匹。 首謀者のまりさと、喫茶店で私を嗤った赤ゆっくりと親ありすだ。 ありすはどうやら、真っ先に突っ込んできた巨大れいむとのつがいだったらしかった。 今では目と口の間から横一文字に両断されてしまっているが…… 「ふう……久しぶりに大声出して笑っちゃたわ」 『よぐも゛――』 「ん?」 『よぐもべびぶをごろじだな!ゆっぐりじねぇ!!』 「あらぁ?ウフフ、人聞きがわるいわぁ。私は一匹も殺しちゃぁいないわよ?」 『うぞづぐなぁぁ!』 分かったわよと、ありすを巨大れいむの前に運ぶ。 横薙ぎに払われ、上の部分がずり落ちそうなところで乗っていた。 「ほぅられいむ、愛しのありすちゃんよ?』 優しい猫なで声でれいむの髪を撫でてやる。 不格好なダルマの様に巨体が揺れた。 『……あ゛…り………ず』 なんとれいむは捻りだす様な声を絞り、涙を流した。 『れ、れいぶ!?びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』 『どぉぢでぇぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇ!!』 『にんげんはおろかで、ぐずで、まりさのあしもとにもおよばない……』 それを見たありすは絶叫し、赤れいむもそれに続いた。 その様子をまりさは呆然として眺め、ぶつぶつとうわ言を流していた。 私はありすと赤れいむを上に放り投げ、鞭を二回しならせた。 二匹は空中でど真ん中から両断された。 その瞬間から皮の再生が始まり、落ちてくる頃には四つの饅頭片となっていた。 再生する際に、少しでも接点があれば巨れいむの様に奇形になるだけですんだだろう。 『『びゃっ……びゅ…』』 餡子が無くならなければ死なないと言うのは本当らしく、饅頭片となった今でもピクピクと動き奇声を発している。 その饅頭片をかき集め、巨れいむの眼前に置いてやる。 「ウフフ、末永くお幸せにね」 『まりさは、まりさは……』 なんでまりさはこんなばかなことをしたんだろう? いたいめにあったばかりではないか、なぜかてるとおもったんだろう? おおぜいいたから? ちがう みんないちどにんげんをだしぬいたことがあるから? ちがう! どんなにこうげきされてもたおされないじしんがあったから? そうだ!! あのときなんどもたたかれてもまりさにきずはのこらなかった! むきずでかえることができたんだ! むきずならまけるわけがない!! なのになんで!? 「ねぇ?まりさぁちゃん?」 『ゆ゛!?』 声をかけられ、まりさは我に返り無残な現実に引き戻された。 まりさはこの時心底後悔した。 愚かしくも今になって、後頭部の火傷が痛み出したのだ。 そして、傷の残らぬ痛みがどれほど恐ろしいかを理解した。 『おね゛ぇざん!』 「なぁに?」 『ばりざにはやけどびだいなきずがづぐようにおじおぎじでぐだざい!!』 「わかったわぁ」 まりさの反骨精神は粉々に砕かれていた。 私は少々残念な気もしたが、仕方がない。 まりさの意見を尊重することにした。 まりさを町のトーチに入れ、帽子に油を染み込ませ、火種を落とした。 『ゆぎゃ―――』 悲鳴は最初の一瞬だった。 全身に火が回ったまりさは、焼きつく度に火傷が回復し、再び焼き付くの連鎖を始めたのだ。 同じ量の薬でも使う個体によっては、効き目が違うと聞いたことがある。 鞭から摂取した分だけでも既に全身に馴染んでしまったようだ。 パチパチとまりさの焼ける音のみが聞こえていた。 「ゲラゲラゲラ!」 『ゲラゲラゲラ!』 一晩明けて、町中には悲惨な野良ゆっくり達で溢れていた。 痛みを訴えるもの、なんとかもがいて逃げようとするもの、餡子を吐いて自殺しようにも体が歪みすぎてそれすらできないもの…… 「なぁ、マスター。私このケジメを付けたらこの町を出て行くわ」 「何だよ突然」 「見聞を広げたくなったの。そして探しものもね……」 正直に言うとあれだけの大立ち回りをしたのに、ほとんど何も覚えていないのだ。 しかし、やったことの重大さは理解している。 そして、これまで持っていた信念が揺らいでしまった。 少しでも償うために、私にできることはまず町の復旧だ。 次には、世界を回り、各地のゆっくりの姿を目に焼け付け、最良の関係とは何かを知ることだ。 「それが見つかれば、すぐにでも戻ってくるわぁ」 最後に、この組織の大元を知ることだ。 もし噂どおり、ゆっくりを品物として扱っているのならば、それを見極めることだ。 傷物である前科者はそれこそ、思いもよらぬような実験の材料としているという噂もある。 こんな哀れなゆっくりをこれ以上世界に出してはいけない。 独善的と言われれば、否定はしない。ただ、この目で確かめたいだけなのだ。 今思えば、あの新聞の少年に抱いた思いも、ただ羨ましかったのかもしれない。 「ゲラ子ちゃんを大事にしなよ」 『ゲラゲラゲラ』 「この子は私なんかよりもずっと強いわよ」 それからしばらくし、町が以前と同じ状態に戻る頃、この町から一組の流れ者ゆっくりーだーが誕生した。 それを見送る様にトーチの炎が一瞬大きく煌いた。 ~ゆっくりデータファイル~ No.3 ゲラ子(ゆっくりれいせん種) 能力:はっきり言って未知数。現在でも珍種とされ、目撃例すらほとんど無い。 人の言葉を話すことができず、口を開けば常に笑う。 意外と博学な面があり、特に薬草の知識には目を見張るものがある。 体付きとしては珍しく、道具を使用することができる。 特殊:『狂気を伝染させる程度の能力』 普段は温厚なゲラ子だが、強い精神的ショックを受け、狂気に駆られると発動する。 近くにいる人間(主にパートナー)に狂気が伝染する。 ちなみにこの能力は本人は知らないし、伝染した者もその間の記憶を無くす。 備考:満月の夜に活発に個体ごとの行動を取るらしい。(ゲラ子の場合、餅つき) 今後はこの個体を観察していく上で解明されるものがあるだろう。 No.4ならず者まりさ(ゆっくりまりさ種) 能力:まりさ種で言う裏切り等の、短所が見事に欠落している。 持前の身体能力の高さとリーダーシップで、ならず者ゆっくり達をまとめ上げた。 特殊:「遠くの味方に命令を出す程度の能力』 本作中では歌や口笛として使用している。歌のリズムは某信号から 特殊2:「どんな傷でもすぐに治る程度の能力」 先天的な能力ではなく、外科的に付与された能力。 その名の通りの能力で、強力すぎるがために悲劇を生んだ。 備考:本作品の序盤のセリフに嘘偽りはなく、仲間のための行動だった。 新たな能力に目覚めなければ、もっと違う結末になっていたかもしれない。 後書き ようやく、後編が完成しました。 薬品ネタとまりさの結末から作っていったので、変に疲れた。 描写が伝わりにくくしてしまったかもしれない。 どうしても救いのある話にしたかったので、後半の描写はイランて人が多そうだなぁ…… ネタ切れなので、虐待スレを見てビビッときたらまた書きます。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5397.html
ここは人間の里何度かドス率いる群れに襲撃されていただからそういうことには慣れていた最初はかなり巨大なゆっくり魔理沙がきたので最初はみんなたじろいで契約にしたがったが 勇敢 と言うよりこわい物知らずのやつが向かっていくとドスはドススパークや巨体を活かした攻撃を仕掛けたがほとんど全員の人が所詮ただのゆっくりだと言うこととどちらの攻撃も弱点があると言うことをほぼ瞬時にわかった なので攻撃を避けながら攻撃しているとすぐに倒れた 「ゆ ゆ ゆあああああ!!ドスぅぅぅぅぅ!!」群れの幹部であろうパチュリーが叫ぶと混乱は群れに伝わっていった「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」「ばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」しばらくこれは続いたそして数分後にやっと落ち着いてきたそして気づいた 人間のことをやっと認識したのであるほとんどのゆっくりはこれから何があるか予想がついていた そしてその予想は見事的中 すぐに人間たちがゆっくりたちを潰してきた「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!ひでぶぅ!」「ゆんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ぶちゅっ!「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!やべでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」ぶちゅっ!「霊夢はかわいいから殺したらだめだよぉぉぉぉぉぉ!!!」ぶちゅっ!!「魔理沙は強いんだぜぇぇぇぇぇ!!だから殺しぶぅぅぅぅぅぅ!!!」そんなわけで数匹のみ重症で帰り途中で全滅した 最初以外は似たことが何度かあったそしてまたドスはやってきたそして里の人は戦闘準備をした が ドスが言ってきたことも態度も違った脅しをする様子もなく 見下す目で見ることもなく契約をしようとしたことかなりまともだった 契約とはこうだ 1人間はゆっくりに危害は加えないがゆっくりが契約を守らなかった時だけ破ったゆっくりにだけ危害を加えてもいい2ゆっくりを働き手として雇いそれに見合った物をくれる3働くゆっくりにのみすみかを与える という物だった里の人はゆっくりがこんなまともな契約をしたことと群れにゲスと見える態度をすることゆっくりもいずに全員人間で言えば頭を下げる動作をしてきたので人々は喜んで契約を結んだ そんなわけで数日が過ぎたこの頃はまだ誰も契約を破らずに働いているゆっくりは真面目で給料として野菜を貰いすっきりすると迷惑になると思いやらなかった 2匹の夫婦を除けば この夫婦は善良種の行動はほとんどすべて知っていたのでばれなかった最初だけは この2匹は働かせてもらうとさぼってばかりで契約にはないと言う理由で給料をもらっていた そして同じ理由で大量にわけてすっきりし子供を50匹ほど生んでいたがこの生活も簡単に終わりを迎えるある日2匹は子供が生まれたので食料を大量にもらいにきたこの2匹の妄想ではもらった大量の食料を子供なんかには与えず全員餓死させまたすっきりして大量の子供を生んで の繰り返しのはずだった しかしこの2匹はかなり嫌われていた この群れの他のゆっくりだったら喜んで野菜をあげていただろうなにせこの群れの優しさはれいぱーに産まされた子供でも普通に愛す程であるもちろんれいぱーは殺して子供の餌にするが だが自分達も使ったそんなの契約にはないと言われあっさり断られる ただそういった以上契約を破るわけにも行かないので危害は加えない そしてその日その2匹についてドス達に相談に行ったそして緊急会議が行われた結果はあの2匹と子供を群れから追い出すということに決まったそれと従わないなら殺していい そして翌朝腹をすかせながらどうやって騙すか考えていた所に村長と群れの幹部とドスがやってきたそしてこういった「会議で決まった、君たち二人と子供には出て行ってもらう」 「ゆ?そんなの従わなければいいんだぜ 無理矢理追い出すことも契約っさんで無理なはずだぜ」「あー そのことなんだが会議で無理矢理追い出すこともできるし殺すこともできるようになったから生きてこの群れと里から出るかここで一家皆殺しかだ」「ゆぇぇぇぇぇぇぇ!!そんなの聞いてないよぉぉぉぉぉぉ!!」「そもそもいま初めて言ったからな で どっちを選ぶ?」「ゆ··ゆ··『ピコン!』そうだ 魔理沙達の子供を全員殺していいのぜだからせめて魔理沙と霊夢は残してくれだぜ」清々しいほどにゲスである するとやっとドスが口を開いた「そんなゲスなら、なおさら群れに置くわけにはいかないのぜ、なぜならここの群れはゲスは禁止だぜ」「どぼじでぞんなことを言うのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」「決まっているでしょ、ゲスだからでしょ で、どっちにするの?」「子供を殺して魔理沙と霊夢は残るよぉぉぉぉぉぉ!!」「なるほどじゃ一家皆殺しで」「なんでぇぇぇぇぇぇ!!」「殺すか出て行くかだよね無垢な子供を犠牲にしてまで生き残るゲスは死ねぇ!、じゃ、人間さんなるべく苦しませて死なせてください」この群れは優しいがゲスにとっては地獄の群れである「そうだ!近所にゲス専用虐待お兄さんがいるから任せよう!」虐待お兄さんに事情を話すと喜んで引き受けてくれた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3058.html
・ぺにまむ、うんうん、しーしーが少し。 ・酷い目にあわないゆっくりも少し。 ・ノリだけで書いたのがほとんど。 ・それでももしよろしければ、どうぞお読みくださいますよう。 「うー!うー!」 「ゆゆっ、うーぱっく!あそこにおろしてね!」 空から畑へと降りてきたのは、ダンボールに羽の生えた謎の生物?、うーぱっく。 そして、6匹のうーぱっくからゆっくり達がぞろぞろと出てきた。その数、およそ20匹ほど。 まりさ、れいむ、ありす、と言った、どこにでもいる、なんの価値もないゆっくりだ。 ゆっくりが畑に来る理由など一つしかない。人が育てた作物を奪うためだ。 「ゆゆぅーん。こんなおいしいおやさいさんをひとりじめなんて、にんげんさんはほんとずるいんだよー」 そんなことを言いながら、その場で大根を齧り出すゆっくり。 一方、うーぱっくはそんな光景をにこにこと眺めている。 別に、野菜を齧るゆっくりがかわいい、などとは思っていない。契約の報酬を待ちわびているのだ。 「うー!うー!」 待ちかねた一匹のうーぱっくが、ゆっくり達に催促を始めた。 「ゆっ?うーぱっくなにしてるの?もうかえっていいよ」 まだいたのか、とでも言いたそうに、れいむが言った。 「ここまではこんでくれてありがとうなんだぜ!かんしゃしてやるからありがたくおもうんだぜ!」 「とかいはのありすをはこべてうれしかったでしょう!これからもたまにははこばせてあげるわ!」 野菜をぼりぼり食い散らかしながら、口々にそんなことを言っている。 もちろん、うーぱっくとしては堪らない。重大な契約違反だ。契約をなにより重んじるうーぱっくは、 一斉に抗議の声を上げた。 「う?うー!うー!ううー!」 これはどういうことだ。運ぶ見返りとして野菜を少し渡す、という契約だったではないか。すぐに 契約を履行しろ。と、必死になって叫んだ。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおぉぉ!このおやさいさんはでいぶたちのものでしょおおおぉぉ!」 「れいむのいうとおりなんだぜ!これはまりさたちがみつけたから、まりさたちのものなんだぜ!」 「かってなこといわないでよ!このいなかもの!」 もちろん、うーぱっく達もそんなあまりにも身勝手な言い分などに負けるわけにはいかない。 「ううー!?う?うー!うー!」 最初に言ったことをもう忘れたのか?とにかく、自分達は契約を果たしたのだ。そちらも破らずに守れ。 だが、契約相手のゆっくりたちの餡子脳からは、契約内容など野菜を食べた瞬間、きれいさっぱり消滅している。 ああ、まただ。また契約を一方的に破ってきた。何故こいつらはこうなのだ? うーぱっく達が心中で嘆いた、その時だった。 突然、ゆっくりとうーぱっく達に何かが覆いかぶさってきたかと思うと、身動きがとれなくなっていた。投げ網である。 「ゆゆゆゆゆゆっ!な、なんなんだぜぇ!?」 「うー!?うううううー!?」 「やれやれ、ようやく捕まえられたか・・・」 いつの間にか、すぐ傍に人間達が立っていた。両者とも言い争いに夢中でまったく気が付かなかったのだ。 「にににににににげんさん!?まりさたちはわるくないんだぜ!うーぱっくたちがかってにはこんできたんだぜ!」 「そそそそそそそうだよ!それにれいむはにんっしんしてるんだよ!やさしくしなきゃいけないんだよ!」 男の一人が黙ってその顎の膨れたれいむを取り出すと、ちょうど顎の中心辺りに、尖った木の棒をぴたりと押し当てた。 「ゆっ!?なにするの?きこえなかったの?れいむにはかわいいあかちゃ・・・がああぁぁぁ!」 れいむの絶叫が響いた。男がゆっくりと、だが力強く、正確に、れいむの顎に木の棒を突き刺していったのだ。 「あがっ!ゆぐっ!いだっ!やべっ!ってぇ!」 「ゆうっー!?じじいいぃぃ!まりさのれいむになにするのぜぇぇぇ!?」 最初にうーぱっくに責任転嫁しようとしたまりさが叫び、体当たりしようともがいていた。面倒なので、上から強めに踏んで 動けず、喚けずにしておく。 もちろん、男は止めない。少しづつ、少しづつ、れいむの身体に木の棒がずぶずぶとめり込んでいく。 他のゆっくりもぎゃあぎゃあ喚いていたが、他の人間にぼこぼこに叩かれると、大人しくなった。男を止めるものは、もういない。 そしてようやく、れいむは男が何をしようとしているのかを悟り、今まで以上に激しく叫んだ。 「やべでやべでやべでええぇぇぇ!そごにはっ!あがぢゃんがああぁぁぁ!」 男は棒の先端に、今までとは違う物があるのを感じた。そして、ちらりとれいむの顔を見る。 「や・・・やめて、ね?かわいいかわいいれいむのあかちゃんなんだよ?ひ、ひどいこと・・・しないで・・・ね?」 れいむは恐怖と痛みに引きつった汚らしい顔をいっそう汚らしく歪めて、媚び笑いを浮かべていた。 ずぶり。 男は棒を一気に捻じ込むことで、れいむに答えた。れいむの子供は、断末魔も上げられず、生まれる前に死んだ。 「これでもう、お前はただのゆっくりだな」 冷たい声でそう言うと、男は絶望しきった表情で目を見開いているれいむを地面に叩きつけ、殺した。 「ーーーーっ!?」 足元のまりさが声にならない声を上げ、狂ったように暴れている。 「ふん。ゲスもゲスなりに、家族を殺されれば怒るのか・・・まあ、安心しろ」 そう言うと男は、まりさを取り出し、その脳天に木の棒を突き刺した。 「ゆぐべぇぇ!?」 さらに突き刺さった棒をぐちゃぐちゃと、荒っぽくかき混ぜる。 「あがががががっ!やべ・・・で!ばりざの・・・あんごじゃん・・・まじぇにゃ・・・まべぇにゃびゅでゅべぇ・・・」 中枢餡と周囲の餡が混ざってしまい、ろれつが回らなくなり、めちゃくちゃな方向に目を向け、口をぐにゃりと歪め、 身体中からあらゆる液体を振り撒きながら、まりさは死んだ。 「よし、後はみんなで好きにしてくれ」 男がそう言うと、周囲の人間は手際よく恐怖でがたがたと震えるゆっくりを籠に詰め込み、運んでいった。 「さて・・・君達には少し話がある」 ゆっくりが全て運ばれてから、れいむとまりさのみじめな末路を見て震えていたうーぱっくに男は話し掛ける。 先ほどゆっくり達に話し掛けた時とは違い、静かではあるが、落ち着いた声と態度だった。 一方、連れて行かれたゆっくりはと言うと・・・ 「はへふぇ・・・ほふ・・・はうははひへぇ・・・」 「んん~?何を言っているのかわからんなあ~?」 そう言って、既に全ての歯が砕けてしまったまりさをぼこぼこにする者。 「やべ!っで!こん!なの!とが・・・いびゅやあぁ・・・」 「ぶふぅー・・・このカスタードの詰まったゴミ袋めが。お前らは黙って食われてりゃよかったんだよぉ」 じわじわとありすの中身のカスタードを搾り取り、うまそうに飲んでいる者。 「ゆぐぎゃあああぁぁぁ!やべでよおおぉぉぉ!あがぢゃんうべなぐなっぢゃうよおおぉぉぉ!」 「はっはぁー!どうせ死ぬんだからもう生む必要なんてないんだよー!わかってねー!」 れいむのまむまむのあるところに焼けた鉄棒をねじ込み、生殖機能を破壊している者。 「あああああああああぁぁ!やめてええぇぇ!これいじょうあんこさんとらないでええぇぇ!」 「くっくっくっ、スプーン何杯目で死ぬかなー、っと」 れいむの頭頂部を切り飛ばし、スプーンで少しづつ餡子をすくっていく者。 「もうむりでずうううぅぅ!ゆるじでぐだざいいいいいぃぃ!あづいいいいぃぃぃ!」 「ほらほらー、あんまり暴れると火達磨だよー。どうせ揚げ饅頭になるんだけどねー」 煮えた油にまりさを放り込み、押さえつけている者。その油には笹船で蝋燭を浮かべている。倒れれば当然、火達磨である。 彼らのほとんどはゆっくりに実際に被害を受けた者で、ここぞとばかりにゆっくりに対する日頃の鬱憤を晴らしている。 無論、中には純粋にゆっくりを殺すのが楽しくてやっている者もいるが・・・。 まだ殺されていないゆっくりはその光景を、がたがたと震え、涙とよだれとうんうんとしーしを垂れ流して眺めていた。 「こ、これだけころしたんなら、もうじゅうぶんだよね?ま、まりさたちはたすけてくれるんだよね?」 一匹のまりさの問い、というよりも哀願に、見張りの村人はゆっくりと、余裕を持って答えた。 「駄目だ」 「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」 鬱陶しく、忌々しい生首饅頭共の絶望の叫びを聞き、村人は心地良さそうに目を閉じた。 さて、村に侵入したゆっくりが皆殺しにされてから、数ヶ月が経った頃・・・ 「れいむたちをにんげんさんのはたけにゆっくりはこんでね!そしたらおやさいさんをわけてあげるよ!」 「うー!うー!」 あの時と同じように、ゆっくりの群れがうーぱっくを使って畑に侵入しようとしていた。 契約を結んだ以上、うーぱっく達に断る理由はない。上部を開き、二十匹程のゆっくりに乗るように促す。 さっそくうーぱっくに乗り込むゆっくり達。全て乗り込んだのを確認して、うーぱっくは一斉に飛び上がった。 「ゆっひっひっひ・・・ついたらおやさいさんをたくさんむーしゃむーしゃできるよ・・・」 このれいむを中心とした群れは、この時点で既に野菜を独り占めする腹積もりだ。以前の契約を忘れたゆっくり達より 賢くはあったけど、性質の悪いゲス共でもあった。 無論、うーぱっく達はそんなことはわからない。ただ契約を果たすだけである。 やがて、村が眼下に見えてきた。うーぱっく達はお互いに目配せで確認すると、目的地へと降下していった。 「じゅるるるるー・・・まちきれないよぉ・・・」 意地汚くよだれを垂れ流しながら、群れの誰もがが今か今かと待ち構えていた、その時だ。 気が付けば、全てのゆっくりが、空に投げ出されていた。そして、あっという間に頭から地面に落下した。 「ゆべっ!」 「ゆぐぇ!」 「ゆぎゃっ!」 突如頭を襲った激痛に呻きつつ、辺りを見回す。幸い、餡子を吐いたものはいたが、潰れたものはいない。 「ぷくーっ!いきなりなにするの!ゆっくりしないでおりてきてあやまってね!」 そんなことを一通り喚き散らしてから、もう一度辺りを見回す。そこは畑ではなく、柵に囲まれた何もない場所だった。 「ゆーっ!うーぱっく!やくそくをやぶったね!れいむおこったよ!」 「いいや。うーぱっくたちはきちんと約束を守ってくれたよ?」 「「ゆゆゆゆっ!?」」 ゆっくり達が慌てて振り向くと、人間が一人、ゆっくり達を見下ろしていた。 さらにしばらくすると、続々と人間達が集まってくる。 ここに来て、さすがに餡子脳も自分達が騙されたことを理解した。 「ゆぎいいいぃ、だましたなあああぁぁ!きたないじじいどもとうーぱっくは、ゆっくりしないでしねえええぇぇ!」 「自分達もうーぱっくを騙したくせに、よくもまあ言えたものだ。どうせお礼を渡す気などなかったんだろう?」 「ゆぐぅ!?」 図星を突かれ、うろたえるゆっくり達に、男は無情に宣告する。 「さて饅頭共。お前達はこれから全員、我々がゆっくり殺してやる」 「いやだあああぁぁぁ!ゆっくりさせてええええぇぇぇ!」 「ほかのれんちゅうはどうでもいいから、まりさはたすけるんだぜえええぇぇ!」 「とかいはのありすをころすつもりなのおおおぉぉ!たすけなさいよいなかものがああぁぁ!」 「断る。ゆっくり、死ね」 「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」 いつもと同じ絶望の叫びを上げ、そしていつもと同じように、ゆっくり達は運ばれていった。 ゆっくり達がいなくなり、男はいつものようにうーぱっくに礼を言った。 「今回もありがとう、うーぱっく。今報酬を用意しているから、とりあえずこれでも食べていてくれ」 男が籠から出したのは、形が悪かったり、少し痛んでいたりする野菜だった。そんなことはおかまいなしに、 うーぱっくたちはうれしそうに食べ始める。 「やはり君達は信用できるな。これからも我々との契約を続けて欲しいものだよ」 「うー!うー!ううー!」 それはうーぱっく達にとっても同じことだ。 この人間達とうーぱっくは、あのとき契約を結んだのだ。 うーぱっくはゆっくりに人間の土地に運ぶよう頼まれたら、例外なく人間があらかじめ指定した場所に運ぶこと。 人間はゆっくりを運んできたうーぱっくに、野菜や果物、さらにはゆっくりの餡子を渡すこと。 ゆっくり達としか契約してこなかった頃は、うーぱっく達にとっては満足の出来る状態ではなかった。 なにせ契約を守ってくれるゆっくりは、せいぜい半分がいいところだったからだ。大抵は忘れるか、先ほどの ゆっくりのように最初から履行する気などないのだから。 その点、人間は契約を必ず守ってくれた。今もこうして野菜をくれたし、間も無くお礼の品を運んできてくれるだろう。 うーぱっくは満足していた。うーぱっくにとっては、契約が全てだ。守るものは誰であろうと善であり、破るものは誰で あろうと悪だ。それがうーぱっくの価値観だ。 一方の人間側も、この契約に満足していた。空からのルートを潰したことで、ゆっくりの害が格段に減ったからだ。 対価も本来使い物にならないものや、そこらでいくらでも補充できるものだから、ほとんど懐は痛まない。 男はしばらく様子を見てから、可能ならばうーぱっくに人間間での輸送もやってもらおうと考えていた。うまくすれば、 ちょっとした村の副収入にもなるかもしれない。それなら今以上の報酬を出してもいいだろう。 だが、もしうーぱっくがあまりにも不釣合いな対価を求めてきたら? 自問して、男は心の中で呟いた。 そのときは契約を破棄し、この辺りのうーぱっくを全滅させるだけだ。そうすればもう、ゆっくりだって うーぱっくを使えない。少なくとも元の状態よりはいいわけだ。 人間にとって契約は重要なものだ。だが、全てではない。 願わくば、そのことをうーぱっくが知るときが来ないようにと、男はそっと祈った。 ※以前書いた『草刈り』を読んで下さった方、感想を下さった方、誠にありがとうございました。 ※これは正直、「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」って言わせたかっただけです。 ※あと、一部虐待の台詞の元ネタはうろ覚えです。完全にノリだけで書きました。申し訳ありません・・・
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/328.html
※序盤にちょっと愛で描写あります ※いわゆる良いゆっくりが虐められます 上記が苦手な方はご注意ください。 青年が畑仕事から帰ってくると、玄関口の前で一匹のゆっくりれいむが眠っていた。 「ん? 何でこんなところで寝てるんだ?」 お兄さんは疑問に思い、涎を垂らしながら眠るれいむの頬を突っついた。 何回かぷにぷにすると、れいむは目を覚まして辺りを見回した。 「ゆ? おにいさんだぁれ?」 「僕はこの家の持ち主さ。君はどうしてここで寝ていたんだい?」 「おさんぽしてたらついきもちよくなっちゃって…」 れいむの話を纏めるとこうだ。 『散歩中、あまりにも心地よい気温だったので直射日光の当たらない屋根の下で眠ってしまった』 それを聞いたお兄さんは楽しそうに笑った。 「あははっ、そうかそうか。まあ確かに今日は涼しかったけどね」 「ゆ、ゆぅ~」 れいむもつられて恥ずかしそうに微笑んだ。 「おにいさん、かってにばしょをかりちゃってごめんなさい。すぐでていくよ!」 おや、とお兄さんは思った。 先程から感じていたことだが、このれいむは普通の野生のゆっくりとはどこかが違う。 飼いゆっくりかと思ったがどこにもバッジ等の目印を付けていない。 「ねぇ、れいむ。君は誰かに飼われていたのかい?」 「ゆ? れいむはだれにもかわれてないよ!」 どうも捨てゆっくりでもないらしい。 ならやはり野生だろうか。しかしそれにしては礼儀正しい。 まあそういうゆっくりもいるのだろうと思ったお兄さんはれいむにもう一度尋ねた。 「みたところ一人のようだけど、家族はいるの?」 「ゆ…それが…」 どうやらこのれいむは家族で仲良く暮らしていたところをれみりゃに襲われたらしい。 そしてれいむだけが命からがら逃げ出し、それからはずっと一匹で過ごしてきたようだ。 「そっか、それは辛かったね。ごめんね、変なこと聞いてしまって」 「ゆ! おにいさん、きにしないで! れいむはだいじょうぶだよ!」 「そっか、君は強いんだなぁ」 その後も少し二人はおしゃべりをした。 やはりれいむは普通の野生ゆっくりよりも大人しく、人間側の常識を知っている。言葉遣いも丁寧だ。 話しているうちにお兄さんはれいむをとても気に入った。 そこでふと考えた。 このゆっくりれいむは一匹で生活してきたと言っていた。 ならば自分と一緒に過ごすのはどうだろうか、と。 「ねぇ、れいむ。君が良かったらでいいんだけど、僕の家に住まないかい?」 それを聞いてれいむはびっくりした顔になる。 人間の家に住む。それは確かに魅力的なことだ。 他のゆっくりに巣を取られることもないし、雨や雪の対策も必要ない。 何よりこのお兄さんはとても優しい。もしかしたらご飯も用意してもらえるかもしれない。 しかし。 「ゆ…でもおにいさんのめいわくになるよ」 「いや、君はとても賢いゆっくりだ。迷惑だなんて思わないよ」 「でも…」 「それに僕から言い出したんだ。少しぐらい迷惑かけてくれてもかまわないよ」 「…ほんとう?」 「ああ、本当だよ」 そう言ってお兄さんは優しく微笑む。 その笑みを見てれいむは決心した。このお兄さんのお世話になろうと。 「ゆ! ふつつかものですが、よろしくおねがいします!」 「ああ、よろしく」 それからお兄さんとれいむの生活が始まった。 お兄さんは一人暮らしということもあり、れいむをとても可愛がった。 れいむもお兄さんの迷惑になるような事は一切しなかった。 やはり今までひとりっきりだったのは寂しかったのか、その顔はとても幸せそうだ。 「よし、今日も一緒に畑に行こうな」 「うん! れいむもゆっくりてつだうよ!」 朝と昼はお兄さんと一緒に畑仕事。 水を運んだり、雑草や害虫を食べたりしてれいむはお兄さんを手伝う。 れいむの髪には元々あるリボンの他にもお兄さんお手製の可愛いリボンが結ばれていた。 そのおかげで野良ゆっくりと間違われることもない。 「ふー、今日も頑張ったな」 「おにいさん、おつかれさま!」 夕方になり、二人は家に帰る。 お兄さんは夕飯を作り、れいむは疲れを癒すためにゆっくりとする時間だ。 最初はれいむも夕飯作りを手伝うと言ったのだが台所は危険だという事で断られたのだった。 「おーい、れいむー。 ごはんだぞー」 「おいしそう! ゆっくりいただきます!」 テーブルの上に乗り、お兄さんと同じものを一緒に食べるれいむ。 やはり普通の野生ゆっくりのように周りに散らかすようなことはせず、綺麗に食べる。 料理を口に入れると、その美味しさに顔を輝かせた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー! やっぱりおにいさんはおりょうりじょうずだね!」 「そう言ってもらえると、作ったかいがあるよ」 とても美味しそうに食べるれいむを見てお兄さんも微笑む。 と、そこでちょっと悪戯をしてみたくなった。 れいむがミートボールを口にくわえたとき、お兄さんは彼女の頬をつっついた。 ぷにぷに 「ゆ! ごはんがたべれないからやめてね!」 ぷにぷにぷに 「ゆ、ゆっくりやめてね!」 ぷにぷにぷにぷに 「やべでっでいっでるのに゛ぃぃぃ!」 ついにれいむが泣きだしたのでお兄さんは慌てて手を止める。 そして頭を優しく撫でてあげた。 「あはは、ごめんごめん。れいむがあまりにも可愛くてね、ついやめられなかったんだ」 「ゆぅ~…」 可愛いと言われるとれいむもきつくは反論できない。 それに頭をなでなでされるのは気持ち良かった。 夕食後、お兄さんはれいむの体を洗ってあげる。 タライに薄く水を張り、れいむをゆっくりとその中に入れる。 「ゆー! つめたくってきもちいいー♪」 濡れた布で素早くれいむの体を拭く。 あまり長く水に浸かっているとれいむが溶けてしまうかもしれないからだ。 皮を傷つけない程度の力でれいむを洗い、最後に水をかけて汚れを完全に落とす。 「すっきりー♪」 れいむをタライから出し、乾いた布で水分を拭き取っていく。 「気持ちよかったかい?」 「うん! おにいさん、いつもありがとう!」 にっこりとれいむは微笑む。 その時、健康的な頬がぷるぷると揺れた。 それを見てお兄さんはその頬をぷにぷにと親指と人差し指で挟んだ。 「ゆ! くすぐったいよ!」 もちもちとした感触がなんとも心地よく、お兄さんはついつい夢中でぷにぷにと指を動かす。 「ゆゆっ、ちょ、ちょっと…いたくなってきたよ!」 人間にとっては何とも無い力でもゆっくりにしてみれば強力なのだ。 いくら優しく挟んでいても何度も同じ個所を挟まれ続けると次第に痛みが出始める。 だがお兄さんは夢中なせいかれいむの言葉が聞こえていなかった。 かまわずぷにぷにし続けるお兄さん。 「ゆ! お、おにいさん、ちょっといたいよおぉぉぉぉ!」 「ああっ!? ごめんごめん」 れいむの目にうっすらと涙が浮かんできたのを見て、お兄さんは再び慌てて手を止めた。 そしてそのままれいむを優しく抱きしめる。 「ごめんね、れいむ。つい止められなくってさ」 お兄さんの腕に抱かれ、れいむは満足げな笑顔を浮かべた。 それからしばらくそれぞれの時間を過ごして二人は就寝する。 ふとんは狭いので、れいむにはふかふかのクッションが与えられた。 細かいところに違いはあるが大体それが二人の一日の過ごし方だった。 それから数カ月が過ぎた。 れいむの体は通常の成体ゆっくりより大きい、サッカーボールほどの大きさになっていた。 肌はまるまると健康的で、黒い髪はつやつやと輝いている。 そんなある日、お兄さんはれいむに向かって言った。 「れいむ、僕はこれからしばらく出かけなくちゃいけないんだ。寂しいかもしれないけど、留守番よろしくね」 「ゆっ! わかったよ! れいむがちゃんとおるすばんしてるからあんしんしててね!」 その返事にお兄さんは満足そうに頷き、最後にれいむの頭を優しく撫でて家から出ていった。 それかられいむのお留守番が始まった。 と言ってもお兄さんがきちんと戸締りをして出かけたので野良ゆっくりが家に侵入してくることはまずない。 食事もきちんと用意されている。 れいむがする事といえばゆっくりする事ぐらいである。 そういえば最近はずっとお兄さんと一緒だったから一人になるのは久しぶりだな、とれいむは思った。 その日、れいむは久々に一人でのゆっくりを満喫した。 翌日の正午頃。れいむが相変わらずリビングでゆっくりしていると、玄関が開く音がした。 お兄さんが帰って来たと思い、れいむは嬉しそうに玄関へと跳ねていく。 そこに居たのは間違いなくお兄さんだった。 一人でゆっくりするのもいいがやはり優しいお兄さんと一緒にゆっくりする方が楽しい。 だかられいむはお兄さんが帰ってきた事がとても嬉しかった。 「ゆ! おにいさんおかえりなさい!」 顔に満面の笑みを浮かべ、目を輝かせながられいむは言った。 きっとこの後は優しい笑顔でただいまと言いながら頭を撫でてくれると思っていた。 しかし、帰って来たお兄さんの反応はれいむにとって意外なものだった。 「チッ、そういやテメェがいたんだったな」 お兄さんは冷ややかな目でれいむを見下し、舌打ちをしたのだ。 今までお兄さんにそんな事を言われたことが無かったれいむは戸惑った。 一体どうしたのだろう。何か嫌なことでもあったんだろうか。 れいむは考えた。きっとお兄さんは今機嫌が悪いんだ。 だから自分の笑顔で少しでも心を癒してあげよう、と。 もう一度顔全体に笑みを浮かべ、れいむはお兄さんの方を向いた。 「おにいさん! ゆっくりしていっゆ゛ぶぅぅぅぅぅ!?」 言い終わらないうちにお兄さんのつま先が顔面にめり込み、蹴飛ばされた。 れいむには一体何が起きたのかわからない。 しばらく吹っ飛び、れいむの体は壁に激突した。 蹴られた痛みと壁に叩きつけられた痛みがれいむを襲う。 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅ!! い゛だい゛よ゛おぉぉぉぉぉ!! どお゛じでこんなごどするの゛ぉぉぉ!!」 「あーうるせぇ! ガタガタ喚くな!」 「ゆ゛うぅぅぅ!! いいかげんにしないとれいむおこるよ!」 ぷくぅーっと体内に空気を取り込み、眉を吊り上げて威嚇するれいむ。 直後、お兄さんの低空右アッパーが綺麗に顔面に叩きこまれた。 「ゆ゛ぶぶうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 れいむは再び顔をへこませ、弧を描いて壁に衝突するまで飛ぶ。 べちゃりと音を立ててれいむの体が床に落ちた。 その目には涙が浮かんでいる。今にも泣きだしそうな状態だ。 「ゆ゛うぅぅ! おにいさん、いったいどうしちゃったの゛ぉぉぉ!?」 「あぁ? どうしたもこうしたも俺は最初から…」 そこまで言った時、お兄さんは何かを思いついたような顔になり、ニヤリと意地の悪い笑みが浮かんだ。 「そう、これが俺の本当の性格なのさ。俺は最初からお前の事なんか大嫌いだったんだ」 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 れいむの心は傷ついた。 でもそんなはずはない、自分がお兄さんが大好きなように、お兄さんも自分が好きなはずだ。 だってあんなにも一緒にゆっくり過ごしたじゃないか。あんなにも優しくしてくれたじゃないか。 これはきっと何かの間違いだ。そうに違いない。 「う、うそだよっ! おにいさんはそんなひとじゃないよ! れいむにはわかるもん!」 「へぇ…知った風な口をきくねぇ」 不敵に口を歪ませ、お兄さんはれいむの頭に手を乗せた。 一瞬、れいむはいつも通りなでなでしてもらえると期待した。 だがその希望はすぐに消える。 お兄さんはれいむに乗せた手で一気に頭から押さえつけた。 「ゆ゛べええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! や、やべでえぇぇぐるじいぃぃぃよ゛おぉぉぉぉぉ!!」 「饅頭ごときに理解されるほど人間は単純じゃねぇよ!」 さらに体重を乗せるお兄さん。 圧倒的な力で押さえつけられ、れいむの体が横に伸ばされた。 その口の端からは少量の餡子が漏れ出している。 「ごべんなざいいぃぃぃぃぃぃ!! も゛うゆる゛じでえぇぇぇぇ!!」 涙を流し、れいむは必死に懇願する。 それでもお兄さんは押しつぶすのを止めなかったが、しばらくすると興味が無くなったかのように別の部屋へと移動した。 誰もいなくなった部屋でれいむは一人、ゆぐゆぐと泣き続けていた。 夜、お兄さんは一人で夕飯を食べていた。 その近くの床ではれいむがぐうぅっとお腹を鳴らしている。 だがお兄さんはれいむなどいないかのように、その音を無視して夕食を食べ続けている。 「ゆ…お、おにいさん、おなかすいたよ…」 びくびくしながられいむはお兄さんに言った。 今日は昼から何も食べていないのだ。いつもならお昼ご飯もあるしおやつもある。 そんな生活に慣れてしまっていたれいむにとってお昼ご飯抜きは相当堪えていた。 目の前でお兄さんがとても美味しそうな夕飯を食べていれば尚更だ。 「あん? ったく、しょうがねぇな」 お兄さんは食事していた手を止め、台所へ向かって行った。 それを見たれいむは心の底から安堵した。 頼んでも貰えるとは思っていなかったし、何よりまた蹴られると思っていたからだ。 今日は美味しいご飯をたくさん食べてゆっくり眠ろう。 きっと明日になったらお兄さんはまた優しいお兄さんに戻っているはずだ、とれいむは考えた。 しかし、お兄さんが持ってきた物はれいむが予想していた物とは全く違っていた。 「ほらよ、散らかすんじゃねぇぞ」 れいむの前に差し出された皿には小さな破片や剥いた皮等の野菜クズが盛られていた。 見るからにまずそうな野菜の欠片。しかも量も少ない。 てっきりお兄さんが食べているものと同じものが貰えると思っていたれいむはつい抗議してしまった。 「ゆ! おにいさんとおなじものをもってきてゆべっ!!」 当然のように踏みつけられた。 餡子を吐きだす一歩手前の力で踏まれ、れいむの目から涙が溢れる。 お兄さんは不機嫌な様子でその足をぐりぐりと動かした。 「ゆぐっ! うべっ!」 「何で饅頭なんぞに人間様と同じ食事を作らなくちゃいけないんだ? あぁ?」 「ご、ごべんなざ、うぎぇっ! も゛うやべぶぇっ!」 お兄さんが足を動かすたびにれいむは苦痛の声を上げる。 「我儘言いがって。きちんと食べ物が貰えるだけありがたいとは思わないのか?」 「ばい゛、あ゛り゛がどうございばず、も゛うわ゛がばばいい゛ばぜん!」 それを聞いたお兄さんは足をどけ、再び夕飯を食べ始めた。 れいむはダメージを受けた体を引きずってテーブル近くに置かれた皿へと辿り着き、野菜クズを食べる。 空腹は最高の調味料という。 普段ならさほど美味しいと思えないであろう野菜クズが、今は最高の食べ物だとれいむには思えた。 いくらかお腹が満たされるだけでも心の落ち着きが大分違う。 「むーしゃむーしゃ、しあわぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 突然、おもいっきり蹴飛ばされた。 昼間と同じように、壁にれいむの体が叩きつけられる。 違うのは今回は蹴りの威力が増しているということ。 普通のゆっくりなら潰れてもおかしくはないほどの衝撃。 だがこのれいむは通常より体が大きく、弾力性も少々増しているため死ぬまでには至らなかった。 とはいえ無事なわけはない。れいむは次々と餡子を吐きだした。 「ゆ゛げっ、ゆ゛げぇぇぇぇっ、どっ、どお゛じでえぇぇぇぇぇぇ! でいぶなにも゛じでないよ゛おぉぉぉぉ!! ゆげっ!」 「うるせぇ! 今度その不快な言葉を発しやがったら命はないと思え!」 イカシンイカシン怒り心頭といった様子でお兄さんは額に青筋を立てながられいむを怒鳴る。 どうやらお兄さんはゆっくりが食事するときに言う「むーしゃむーしゃしあわせー♪」が大嫌いなようだ。 その餡子も自分でかたずけろ、とお兄さんはれいむに言った。 「ったく、テメェらは人をいらつかせる為に生まれて来たとしか思えねぇな」 しばらくして夕食を食べ終わり、皿を重ねて台所へ持っていくお兄さん。 テーブルの下では、這いずって戻って来たれいむが涙を流しながら黙々と野菜クズを食べていた。 これはきっと悪い夢だ、とれいむは思った。 そうでなければあの優しいお兄さんがこんなことするはずない。 きっと明日目を覚ませばお兄さんが微笑んで抱きかかえてくれるはずだ。 しかし、次の日もまた次の日も殴られ、蹴られた。 それどころか前にお兄さんが結んでくれた可愛いリボンも没収された。 お兄さんいわく、ゆっくりなんぞにこんな装飾品はいらねぇ、だそうである。 れいむは返してと泣いて訴えたが完全に無視された。 体も心もとても痛い。こうなるともう現実だと受け入れるしかない。 お兄さんが帰って来て四日目、れいむは透明な箱の中にいた。 それは昨日、お兄さんが加工場から買ってきた物だった。 れいむが飛び跳ねるのが鬱陶しいということで購入したのである。 だがれいむの方にしてみればたまったものではない。動けないという事はそれだけでゆっくり出来ないことなのだ。 朝から晩まで箱詰めにされ、野菜クズを食べる時のみ体が自由になる。 動けず、窮屈すぎてまともに眠れもしないのでれいむの精神は擦り減っていった。 その日の夕方。お兄さんは突然れいむを透明な箱から出し、その両頬に手を添えた。 今までれいむを殴る蹴るばかりで、ろくに会話もなかったお兄さんが突然そんなことをしたのに、れいむは驚いた。 だがそれと同時に心が安らいだ感じがする。 どれだけひどい扱いをされても、れいむはお兄さんが大好きだった。 だからお兄さんの手の感触がとても嬉しい。 頬をぷにぷにとつねられた。どこか懐かしい感触。 まだ数日しか経っていないのに、れいむにはもう何年もぷにぷにされていないように感じられた。 ああ、やっと優しいお兄さんに戻ったんだ、とれいむは安心した。 しかし。 ブチッ 突然の左側から音が聞こえ、何事かとれいむは戸惑った。 目の前ではお兄さんが右手で肌色をした何かの切れ端を持っている。 そして左頬の違和感は一体――。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!! いだいよ゛おおぉぉぉぉぉぉ!」 皮を千切られた激痛がれいむを襲う。 幸い餡子はそれほど漏れていない。 しかし、体の一部を力任せに引き千切られる痛みは我慢できるものではない。 れいむは盛大に涙を流し、泣き叫んだ。 「お゛にい゛ざぁぁぁん゛! やべでぇぇぇゆ゛ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 ブチッ、ブチッ、ブチッ だがれいむの言葉を無視し、お兄さんは次々とれいむの頬を千切ってゆく。 何度目だろうか、れいむの両頬が穴だらけになった頃、お兄さんは手を止めた。 「ゆぐっ、ゆぐっ、ひどいよぉ…どおしてこんな゛こどずるのぉ…」 「どうしてって、そりゃ楽しいからさ」 「ぜんぜんたのじくな゛いよ゛おぉぉぉぉぉ!!」 「俺は楽しいから問題ない」 口元に笑みを浮かべながらお兄さんはれいむを透明な箱へと入れ戻した。 無くなった頬の分だけ、先程までより箱の中には余裕が生まれている。 そこへお兄さんはオレンジジュースを勢いよく注ぎ入れた。 普段ならゆっくりが元気になる行為である。事実、れいむの体にも活力が戻って来ていた。 しかし現在、れいむの体には大きな傷跡がそこかしこにある。 そんな状態でジュースなど入れられれば――。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ! ほっぺがい゛だいよ゛おぉぉぉぉ!!」 当然、染みる。 じわじわと傷口を侵食される痛みにれいむの精神は段々と消耗していく。 だがそれとは逆に体はどんどんと元気になっていった。 「まあしばらく我慢してくれや。そのうち傷は治るだろう」 そう言ってお兄さんは透明な箱の蓋を閉める。 その日のれいむの夕飯には再び箱の中にオレンジジュースが流し込まれただけだった。 5日目の朝。 れいむが目覚めると、もう箱の中にオレンジジュースは無く、かわりにれいむの頬がほとんど再生されていた。 眠ることによってジュースを効率よく吸収し、体の再生速度が普段より早まったのだ。 体力は元通りになったが、精神的なダメージは未だ残っている。 というよりここ数日、れいむは心が穏やかになったことはなかった。 まともにゆっくりできていなかったこともあるが、何よりお兄さんに酷い事をされるのが一番辛かった。 この間までの幸せな記憶が壊れていくような感じがするからだ。 今日も朝食は抜き、昼食は相変わらずの野菜クズだった。 だがれいむは文句を言わない。言えばまた酷い目に会うとわかっているから。 二人が昼食を食べ終わった頃、家の外からうーうーという声が聞こえた。 お兄さんは急いで家の外に出る。 「うー♪ おとどけものでーす♪」 玄関の外。そこには中にとある物を入れた、標準サイズより若干大きめのうーぱっくがいた。 小さな羽をぱたぱたはばたかせ、にこにこと無邪気な笑顔を浮かべている。 その胸(と思われる部分)にはシャボネットと書かれた小さなプレートが付けられていた。 「いつもごくろうさまです」 お兄さんはれいむに対してとは違い、うーぱっくには優しく話しかける。 それからうーぱっくの中に入っている物を取り出し、かわりにお金と食べ物を入れた。 「うー♪ まいどありー♪」 うーぱっくは一礼してから空へと上昇していく。 それを見送ってからお兄さんは受け取った物を持って家の中へと戻った。 そしてそれを部屋の隅の床に敷き始める。 「ゆ? おにいさん、なにしてるの?」 「あぁ、ちょっとな」 そう言ってお兄さんは次々とうーぱっくから受け取った物を敷き詰めた。 「ん、まあこんなもんだろ」 上出来上出来、という感じでお兄さんは部屋の一角を見る。 お兄さんが敷いていたもの。それは丸い突起が表面に付いているカーペットだった。 そのカーペット地帯の周りには簡易な室内用の柵が設置されていた。 「れいむ、今日からはもうその箱の中にいなくてもいいぞ」 「ゆ! ほんとに!?」 「ああ、そのかわりここで過ごしてもらう。それでもいいか? 嫌ならそのままでも別にかまわねぇが」 と、お兄さんは今作ったカーペット部分を差す。 柵と壁に囲まれている範囲は狭いが流石に透明な箱の中よりは広い。 飛び跳ねることが出来るスペースも十分にある。 それだけでもゆっくりにとっては大きな違いである。 身動きできないのと体を動かす事が出来るのではゆっくりできる度合いが段違いだ。 だかられいむは迷うことなくカーペットの方を選んだ。 「ゆ! おにいさん! れいむはこのはこからでたいよ!」 「そうか。わかった」 お兄さんはれいむを透明箱から取り出し、カーペットの上に置く。 カーペットの突起が少し気になるがれいむは久々に体を動かせたことに満足した。 これでゆっくりできる。だが、そう思っていたれいむの底面部分を不快感が襲う。 「ゆ…? なんだかからだが…」 そしてじわじわと痛みがれいむの体を侵し始めた。 「いだっ! いだいよ゛おぉぉぉ!! どうじでええぇぇぇぇ!?」 それはカーペットの突起のせいだった。 実はこれ、お兄さんが通販で買った『ゆっくりカーペット ミニサイズ』という虐待道具である。 二日前に注文したのが今日うーぱっく運送によって届けられたというわけだ。 このカーペット、その表面の突起によってゆっくりを傷つけず痛めつけることができる代物。 お値段何と580円(送料:うーぱっくのご飯)という激安品だったので即購入したのだった。 ちなみに同時に売っていた厚底スリッパは資金不足で買えなかった。 「お゛に゛い゛ざあぁぁぁぁん! だすげでえぇぇぇぇぇ!!」 痛みにから跳ねてはまた着地したときに痛みが来る。 れいむは世にも恐ろしい無限ループを味わっていた。 「おいおい、お前がそっちの方がいいって言ったんだぞ。だからもうこの箱はいらねぇよな」 「ごべんな゛ざいいぃぃぃぃぃ! ぞ、そっぢのほう゛がいいですうぅぅぅ!!」 「ハハハ、まあ遠慮せずそこでゆっくりしていけよ」 そう言ってお兄さんはリビングから出ていった。 残されたれいむは少しでも痛みを紛らわすためにもただ叫び続けるしかない。 「い゛だい゛よ゛おお゛ぉぉぉぉ! ぜんぜんゆ゛っぐりできな゛いよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 五時間後、リビングにお兄さんが戻ってきた。 れいむは相変わらず部屋の隅でとび跳ねていたが、その顔には生気が殆ど無くなっている。 喋る力もなくなったのか、お兄さんを見ても唇を動かすだけで声は出せずにいた。 普通のゆっくりがゆっくりカーペットに耐えれる平均時間は約六時間。それ以上はゆっくりできないストレスで死んでしまう。 既に六分の五を過ぎたれいむの反応も当然だった。 そんな虚ろになった目で跳ねるれいむをお兄さんはキャッチし、再び透明な箱へと入れ戻す。 「ゆ゛…ゆぐっ……ゆ゛ぅ…ゆ゛…」 そして大量のオレンジジュースをれいむにかけて蓋をし、そのまま放置する。 明日になれば元気になっているだろう、と考えたお兄さんは台所へ行き、夕飯の支度を始めた。 人のいなくなったリビングにはれいむの呻き声だけが反響していた。 六日目。 お兄さんの考え通り、れいむは元気になっていた。 げっそりしていた肌はある程度丸みを取り戻し、目にも輝きが戻っている。 だがその顔には一つ足りないものがあった。 笑顔。いつもは標準でゆっくりれいむに張り付いているそれが全く無い。 それにどういうわけか今日はお兄さんもれいむを虐めようとはしない。 ボーッとしたまま何も喋らず、何も食べずに遠くを見つめ続けて一日が過ぎた。 夜になり、お兄さんが大きなお皿を持ってれいむの前にやってきた。 だがれいむは反応せず、虚ろな目つきで遠くを見つめたままである。 そんな沈んだ顔つきのれいむをお兄さんは箱から取り出し、お皿をれいむの前に置いた。 「辛気くせぇなぁ。これでも食って元気出せよ」 「……ゆ?」 れいむは目の前に出された夕飯に目を向け、驚いた。今日初めての反応である。 そこにはここ数日触れることすらできなかった豪華な、お兄さんが食べている物と同じ料理が盛られていたからだ。 てっきり野菜クズだと思っていたれいむは目を輝かせたが――それと同時にある事が思い浮かんだ。 もしかして毒か何かが入っているんじゃないか。 今まで虐められてきたれいむがそう考えるのも無理はない。 だから彼女は目の前の食べ物には手を着けなかった。 その様子を見てお兄さんはれいむに言う。 「安心しろよ。毒は入ってねぇ、約束する」 「…ほんとう?」 「ああ、本当だ」 完全に信用したわけではなかったが、れいむはそろーりと少しだけ食べ物を口に含んだ。 刹那、口内に広がるとても美味しい味。 一度食べ始めると後は止まらなかった。 昨日の夜から丸一日何も食べていなかったれいむは勢いよく、しかし周りにこぼさないように綺麗に食べていく。 勿論、また蹴られてはたまらないので何も言わずに黙々と咀嚼する。 むしゃむしゃと食べ続けるれいむはいつの間にか涙を流しながら笑顔になっていた。 七日目。れいむはほとんどお兄さんが出かける前の状態に戻っていた。 肌はもっちりしつつも張りがあり、髪も黒々と流れるように美しい。 れいむはご機嫌だった。 昨日久しぶりに豪華な晩ご飯を食べただけでなく、今朝もとても美味しい朝ご飯を沢山貰ったからだ。 しかも昨日今日とお兄さんに一度も酷いことをされていない。 それどころかあの窮屈な箱から出して貰った。もちろん、ゆっくりカーペットの上ではなく普通の床の上にだ。 さらに以前お兄さんに取られた可愛いリボンも再び結んでくれた。 どうして突然お兄さんが優しくなったのかはわからないが、とにかくれいむは久々にゆっくりと過ごしていた。 お兄さんは椅子に座って本を読んでいる。れいむはその邪魔をしないように部屋の隅でゆっくりしていた。 そんな時、コンコンと誰かが玄関をノックする音が聞こえてきた。 「鍵はあいてるぞー」 お兄さんの言葉が聞こえたのか、ガチャリとドアが開く。 一体誰だろう、とれいむは玄関を見た。 その開け放たれた扉の向こう側にいた人物とは――。 「ただいまー!」 「おう兄貴、お帰り」 「ゆ゛うぅぅぅぅぅ!? おにいさんがふたり!?」 そこにいたのは紛れもなくお兄さんだった。見間違える筈がない。 れいむと共に数か月間仲良く過ごし、そしてこの一週間虐待していたお兄さんだ。 だがそのお兄さんは今れいむの隣にいる。 れいむにはわけがわからない。 何故お兄さんが二人もいるのか。一体どちらが本物のお兄さんなのか。 混乱するれいむの横で、同じ姿の二人のお兄さんは談笑していた。 「僕の旅行中、留守番ありがとう」 「他ならぬ兄貴の頼みだ、いいって事よ」 そう、このお兄さん達は双子の兄弟なのだ。 優しい兄お兄さんが旅行に行っている間、怖い弟お兄さんがれいむを虐待していたのだった。 ややこしいのでここからは兄を"お兄さん"、弟を"鬼意さん"とする。 よく見れば細かい部分は違っているが、れいむから見ると二人は全く同じ顔をしていた。 「れいむ、ただいま。元気にしてたかい?」 お兄さんはれいむの頭に手を乗せた。 一瞬、また押さえつけられるのではないかと思い、れいむの体がビクッと震える。 しかし、お兄さんの手はれいむを潰すどころか優しく頭を包み、撫でてくれた。 とても懐かしい感覚。思わず涙が溢れそうになる。 だが今はそれどころではない。 「ど、どうしておにいさんがふたりもいるの!?」 その言葉を聞いたお兄さんはおや、という顔をした。 「何だ、言ってなかったのか?」 「いやぁ、ちゃんと言ったぜ。同じ顔の人間が二人っていう光景に対応できねぇだけじゃねぇの?」 平然と嘘をつく鬼意さん。 あまりにも堂々としていたのでお兄さんはそれが嘘だとはこれっぽっちも思わなかった。 なるほど、と頷いてからお兄さんはれいむを持ち上げ、抱きしめた。 久しぶりの温かい感触。やっと優しいお兄さんが帰って来たんだ。 と、れいむが心の底から安堵したとき、彼女の両頬に涙が流れた。 「ゆぐっ…ゆぐっ…おにいさあぁぁぁぁぁん!!」 「おいおい、どうしたんだ? 突然泣いたりして」 「多分兄貴に久しぶりに会えての嬉しいんだろ」 戸惑うお兄さんの後ろで、鬼意さんはあさっての方向を見ながらニヤニヤ笑っている。 そういうことか、とお兄さんはれいむを優しく抱擁した。 しばらくするとれいむは泣きやみ、お兄さんの顔を見上げた。 そこには自分に向けての温かい笑顔が浮かんでいる。 ふと見ると、鬼意さんは眠たそうに欠伸をかましていた。 「僕のいない一週間、いい子にしてたかい? 何か変わったことはなかった?」 「ゆ! それが、あのおにいさんが…」 瞬間、れいむに悪寒が走った。 何か鋭いもので体を突き刺されたような感覚。 それは自分の真正面、お兄さんの背後から来ているように感じたれいむはその方向を見る。 そして再び戦慄が走った。 今まで宙を漂っていた鬼意さんの両目が真っ直ぐれいむに向けられていた。 まるで獲物を睨みつける蛇のような眼。それがはっきりとれいむを捕えている。 目は口ほどにものを言う。 鬼意さんの目は語っていた。『言えば殺す』と。 「あ…あのおにいさんがとってもやさしくしてくれたよ! だからだいじょうぶだったよ!」 作り笑顔でれいむはおにいさんに言った。 お兄さんに嘘を言うのは辛かった。だがもうこれからは辛い思いをしなくていいのだ。 だからこれが最後の苦痛になると思えばなんということはない。 これからはまた優しいお兄さんとゆっくりした時間を過ごすのだから。 「はは、二人が仲良くなってくれたようでなによりだよ」 れいむをだっこしながらお兄さんは笑う。 つられてれいむも笑った。今度のは作り笑顔ではない。 ついでに鬼意さんも笑った。しかし目は笑っていない。 「じゃあこれからも二人で過ごしても安心だね」 「…………ゆ?」 お兄さんの言葉が理解できなかった。 思わずお兄さんを見上げるれいむ。その顔には相変わらず笑顔が浮かんでいる。 「ごめんね、これを機に本格的に世界中を旅しようかと思ってね。多分次は数年は帰ってこれないと思うんだ」 一体お兄さんは何を言っているんだろう。れいむは理解できない。いや、したくなかった。 もう悪夢は終わったのだ。今日からは優しいお兄さんと一緒にゆっくり暮らせるはずだ。 なのにお兄さんはどうしてそんな事を言うのだろう。 「だから、これからはこいつと一緒に暮らしてね」 と、お兄さんはれいむを床に置き、弟を見て言った。 鬼意さんはこいつ扱いかよと苦笑いしているがれいむの耳には入っていない。 れいむは既に理解していた。 この二日間、鬼意さんが自分を虐めなかったのは優しいお兄さんが帰ってくるからだと。 きちんとした食事や箱から出してくれたのも以前の体型に戻すためなのだ。 だが今度はお兄さんは長い間帰ってこないらしい。 なら…一体これから自分はどうなってしまうのだろう。 「そういうわけだ。まあこれからも宜しくな」 ぽんぽんとれいむの頭を叩く鬼意さん。 れいむはガタガタと震えているが、その様子は鬼意さんの体で隠されてお兄さんからは見えない。 今にも涙を流しそうなれいむの耳元で、鬼意さんはれいむにだけ聞こえる声で囁いた。 「安心しな。お前は兄貴のお気に入りだ、殺しゃしねぇよ。…まあ死んだ方がマシとは思うかもしれねぇがな」 れいむはゆっくりと理解した。 この悪夢は永遠に終わることがないのだと。 終わり あとがき 前作はかなりやりすぎ感があったので今回はなるべく普通の虐待を書いてみました。 でもなんだか難しいですね。文章力が欲しいなぁorz fuku2088の作者様。誠に勝手ながら、無断で設定を使わせていただきました。申し訳ありません。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2567.html
ぬるいじめ というか、お兄さん自身は苛めてません。 ゆっくりの生態は自分設定です。 ある家にお兄さんが住んでいました。 お兄さんはまりさと犬を飼って平凡に生活していました。 さて、新年になりはや一月も過ぎた頃のこと。唐突にお兄さんはもちを食べることにした。 それを目ざとく見つけたまりさが自分も食べたいと頼んできました。 「うぅん……もう残り少ないからなぁ」 「おにいさん、まりさはすこしでいいからまりさもおもちをたべたいよ!!」 「そうか……残り10個だからまりさには2個あげよう」 「わぁぁい!」 8個も食うと太るますよお兄さん。 それはさておきお兄さんは餅を焼き、まりさと一緒に食べることにしました。 「いただきます」 「ゆっくりいただきます!」 食べ始めて間もなく、がっついていたまりさの顔色がどんどん悪くなっていきました。。 「ゆがっ!?」 「どうしたまりさ!?」 「い、いぎが……」 「だから慌てて食べるなといったのに!急いで食べた結果がそれだよ!」 「ゆぅぅぅぅ……」 どうやら息は少しできるみたいです。 とは言ったもののこのままではまりさが死んでしまう。隣に住んでいる友達を呼んで、どうするべきかを話し合うことにしました。 えらく悠長ですね。 「掃除機は?」 「ダメだ、以前それやったら餡子吸い取って大変だったらしい」 「叩いて吐き出させる」 「それもやっぱり餡子が出たそうだ」 「もういっそ手を突っ込んで……」 「餅どころか中枢抉り取りかねんぞそれ……」 「ば、ばやぐだじゅげで……」 まりさの声が聞こえて、ふとお兄さんはある結論に至ったみたいです。 「なぁ、まりさ……お前喉ってどこにあるんだ?」 その言葉にまりさは目を見開き、 「ゆぁっ!? そ、そーいえばそーだったよ!!」 今までの苦しみっぷりは何処へやら、スッキリした顔になりました。 「全くはた迷惑な………」 ゆっくりは思い込みの激しい生物である、と幻想郷の学者さん達は報告しています。 餅を慌てて食べると喉が詰まる、と聞けばそうなるし、 子供の産み方などもその地域によって変わる。平和な地域ではすりすりが普通なのに対し、 人里に近いところではぺにまむ、となっている、という統計も出ている。 極端な話ではうーぱっくが赤ちゃんを連れて来るんだよ、と群れに広めたところ、 本当にうーぱっくが赤ちゃんゆっくりを連れてきた、という話も報告されているそうです。 いやホントゆっくりという生物は理不尽が体を持ったような生物ですね。 「で、でもほんとにくるしかったんだよ?」 「うん、それはわかるよ。顔色凄く悪そうだったからね、でもお兄さんが聞いてそういえばそうだと思ったら治ったろ?」 「そうだね!ゆゆっ!お、おっきないぬさん、こ、ころがさないでね!!ゆっくりできないよ!」 今の騒ぎで起きた犬のコロにまりさはころがされているようです。 「ははは、コロ。程ほどにしてあげてね!」 「ひゃんひゃん」 いつもはお兄さんも止めるのですが今日はまりさのせいで少し慌てたので少しお仕置きです。 「べ、べがばわるぅぅぅぅぅ!!」 いやぁ、今日も寒いですね。 後書き ヌル虐めってレベルじゃないですね、これ。ですが、ゆっくりにとってころがされ続けるってのも結構きついかなぁ、と思ってしまったり。 スレで募集した手前これからはパロ饅(もしくはパロマン)と名乗ろうか、と思います。 ぱくまんだったらゲ○ムになるところでしたね。 せんとうすぃー2 せんとうすぃー キノコのないドス れえざー ゆっくりこうないえん2 ゆっくりこうないえん ゆ虐 小ねた 食べ物の恨みは・・・・・・ やってみよう何でも実験 罠 やってみよう何でも実験 ゆっくりと現代 ドスに纏わる二、三の話 fuku3313.txt 小ネタ 中立な話 小ネタとちぇん あ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/890.html
*CAUTION* あるキャラの2次設定を使用しています。あと、オチがくだらないです。 その上けっこう使い古されたネタだと思います。 それでも一向に構わんッッッッッ!というお方はどうぞ。 *CAUTION* パチュリー・ノーレッジは知っている。 この頭だけの生き物の存在を。 「「ゆっくりしていってね!!」」 パチュリー・ノーレッジは知っている。 こいつらが 饅頭生物だということを。 (でも…どうしてかしら?) パチュリー・ノーレッジは知らない。 なぜこいつらがここにいるのか。 「「ゆふふのふ…」」 パチュリー・ノーレッジは知らない。 なぜこいつらがこんなに得意げに…いやまあそれもあるけど。 パチュリー・ノーレッジは知らない。 ゆっくりというものの生態を。 (ちょうどいいわ。前の研究が終わったばかりで暇してたし) パチュリー・ノーレッジは思いついた。 戯れに、ゆっくりの研究でもしてみようかと。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ええ、ゆっくりさせてもらうわ」 『そのゆっくりの正体は』 [ゆっくり] いつの間にか幻想郷のそこかしこに現れ始めた生き物。 幻想郷の力ある人妖の姿を模しており、頭部だけのもの・五体のあるものがいる。 人語を解することができ、多くの種が『ゆっくりしていってね』と口癖のように発することから この名が付けられた。 表面は饅頭生地・中身が餡子であることから饅頭の妖精、または妖怪なのではないかという 見方がされているが、詳細は不明である。 研究の第一段階として、パチュリーは現在自分が知っている事をまとめあげた。 今までゆっくりと接触していなかったので全て書物から得た知識である。 とはいえ、その『書物』が問題で… (流石に文々。新聞ソースの情報を鵜呑みにするのは間抜けよね) 別に新聞に限った事ではないのだが、『書物に書かれている=正しい』 『権威あるものが言っていた=正しい』『あるあるで言ってた=正しい』などと考えるのは愚か者の思考である。 本の虫であるパチュリーだがそこは当然、弁えていた。えらいぞ。 (基本は観察かしらね) そういうわけで、当分の間(=飽きるまで)パチュリーはゆっくりの観察日記をつけることにした。 研究といってもまぁ、息抜き暇つぶし程度のつもりでいたのでこんなもので十分だろうと思いながら。 3月1日 日曜日 天気は外に出てないから知らない。どうでもいい。 昨日から図書館に湧いてきた2体のゆっくり。見た目からしてれいむ種とまりさ種であることは確定的に明らかである。 知人と同じような容姿をしているのは少し気味が悪い反面、見ただけでなんという種か分かるのでその点は便利だ。 今日一日観察していて分かったのだが、この2体一日の大部分を寝て過ごしている。これが連中の言う「ゆっくりする」という 事なのかとも思ったが、書を漁るに他のゆっくりは森の中など野生のうちに生きているものもいるらしく、そういった連中が 無防備にぐーたらぐーすか寝て過ごすなど考えづらいのでおそらくこいつらが特殊なのだろう。 大きさは野球のボールよりやや小さい程度。書に載っていた写真のゆっくりがおよそバスケットボール大であった事を考えると、 この2体は幼生体、または特別小さい個体であると推測される。 :今日わかったこと: 一日の大部分を寝て過ごす 大きさはおよそ野球のボールよりやや小さい程度(ただし上記2点は研究対象が特殊な個体である可能性が高いため、ゆっくり全体の特徴とは言えないと考えられる) 3月2日 月曜日 どんな天気でも家の中に居れば関係ない ゆっくり達が本棚に向かって跳ねていったので尾けてみた。ぽよんぽよんとしばらく跳ねていった後 「どれにする?」 「これにしようよ!」 というやり取りを行い本を一冊抜き出した。本を使って何をするつもりなのだろうか、もし破いたり食ったり しようものなら即サイレントセレナだと思いながら観察していると、意外にも本を開き読み始めた。 どうやらゆっくりは人語を解するだけでなく、字も読めるらしい。5ページくらいめくった後 「ゆははははははははは!」 「ゆひひひひっひひひひ!」 突然笑い出した。びっくりした。頭に「ゆ」を付けるのも種族的な特徴なのだろうか。その後も2,3枚めくるたびに ゆふふだのゆへへだの笑い転げていた。このあたりにそんなに面白い本があっただろうか。 「ゆほほほほ…れいむ、れいむ、そろそろやめにしない?」 「そうだね、これ以上読んだら腹筋やばいね!」 腹筋、とはどこの事を指しているのだろう。およそ50ページ程度読み進めた時点で2体は読書を中断した。 本を閉じ、棚に戻す。うん、それだ。それこそが図書館の本の正しい使い方である。 死ぬまで借りるなどとほざきながら勝手に持ち出していくなど言語道断だというのにどうしてくれようかあの白黒…おっと観察観察。 「ゆっくりできたね!」 「いっぱい笑ってすっきりー!」 2体は満足そうにぽよんぽよんと跳ねていき、その後昨日と同じように眠りについた。 後で本が気になったので棚に戻って調べてみると、どうやら『罪と罰』を読んでいたらしい。どこがウケたのだろう。 今日は比較的動いていた。 :今日わかったこと: 笑い声や鳴き声の頭に「ゆ」をつける 字が読める?(本を読んでいるような動きはしていたが、反応を見るに本当に『読んで』いたかは不明) (字が読めると仮定した場合)笑いのツボが一般的な人妖とかなり離れたところにある 3月3日 火曜日 咲夜に天気聞いとけば良かった 今日はゆっくりが現れなかった。どこかとも知れない場所から来た連中なだけに、どこへとも知れない場所に行ってしまったのだろうか? このまま現れないようであれば研究はここで終了である。文字通り3日坊主となってしまったことが悔やまれるが、もともと暇つぶしで 始めた研究なので特に問題は無い。始まりはいつも突然だが、終わりも突然来るものなのだ。 関係ない話だが今日久しぶりに咲夜を見た。と言っても図書館から出て行く一瞬だけだったが。 研究中は邪魔にならないようこっそりと仕事をしていたのだろう。完璧で瀟洒と言われるだけはある。 :今日わかったこと: 特になし(研究対象が現れなかったため) 3月4日 水曜日 小悪魔が雨だったと言っていた 昨日現れなかったゆっくりだが、今日は再び現れた。昨日の事を問いただしてみる。 「昨日はどこに行っていたの?」 「ゆ?れいむたちはずっといたよ?」 「おねえさんの、心の中にね…」 そう言ってニヤニヤ笑い出した。ちょっとムカつく。後で改めて聞いたところ『昨日は一日中寝てたからよくわからない』そうだ。使えない。 日曜日にもほぼ一日寝ていたことから考えるに、48時間中46時間寝るとかそういったリズムで生きているのだろうか? そうだとしたら流石にゆっくりしすぎではないかと思うのだが、こと睡眠に関してはそれ以上にゆっくりしていそうな妖怪を知っているので なんとも言えないところである。 (そういえば、中身が饅頭だって本当なのかしら…。解剖してみるのが手っ取り早いんだけど研究対象が消失してしまうのは好ましくないわね) そんな事を考えていたら 「おねえさんおなかすいてるの?だったら…」 「さあ!お食べなさい!」 自分からぱっくり割れてくれた。案外気が利くヤツらだ。 2つに割れ、合計4つになったうちのひとつを手にとってしげしげと観察する。残った3つが周りをぴょんぴょん跳ねながら 「「「おいしく食べてね!」」」 「「「ゆっくり食べてね!」」」 などと3chサラウンドで喚き散らしているがとりあえず無視。 にぎにぎと揉んでみると、ぐにょぐにょと簡単に変形した。なかなかに柔らかい。皮の部分は饅頭生地ではなく餅のようなもののようだ。 その上餡子の量が極端に少ない(無い、と言ってもいい)。やはり特殊な個体なのだろうか? 一通り調べて、とりあえず断面をスケッチしたところで元の位置に戻した。4chサラウンドにバージョンアップした音声が 「「「「食べないの?ねえ食べないの?」」」」と言っているがそれも無視。しばらくすると 「「「「ふーんだ!おねえさんのケチ!ツンデレ!」」」」と文句を投げてきた後 「「シンメトリカル!」」「「ドッキング!」」と叫んで元の2体に合体した。なんとも便利な体である。 :今日わかったこと: 場合によっては一日中寝ていることもある? 自己の意思で2つ(あるいはそれ以上?)に割れることが出来る。割れた後もそれぞれで行動可能 また、割れた後再び結合することも可能 捕食されることに抵抗は全く無い、というよりむしろ進んで捕食されたがっているように見える 3月5日 木曜日 とりあえず雨ではない 今日もゆっくりは現れなかった。…代わりにあの白黒が来た。 「邪魔するぜ」 「そう。気をつけないで帰ってね」 そんな私の、願いを込めた言葉を無視して本棚に向かう白黒。もう半分諦めているのでとやかく言う気ももはや無い。 「ああ、そういえば。咲夜なんかあったのか?」 「?どうしたのよ急に」 「いや、たまたま外で出くわしたから弾幕りあったんだが…」 ご愁傷様。 「なんかいつもと違うような…こう、違和感を感じてな」 「具体的には?」 「んー…上手く言葉に出来ないんだが、前見たときとどこかしら違ってたんだよなぁ…」 「…何にせよ、ここ最近咲夜とは会ってないからよくわからないわ」 「なんだ、ケンカでもしたのか?」 「無遠慮な貴女には分からないことよ」 「あーん?……まあいいぜ」 そう言うと白黒は再び本棚に向かっていった。 …咲夜に違和感?何なのかしら…いや、いいわ。重要な変化ならレミィが気づかないわけないし、 そうでないのなら放っておいて構わないということ。この件に関しては忘れましょう。 :今日わかったこと: 特になし(研究対象が現れなかったため) 3月6日 金曜日 もういいじゃないか、天気なんて 今日は現れた。隔日で現れるとかいうルールでもあるのだろうか。 そういえば、割と大切な謎が残っていたのを思い出す。 「ねえあなた達、ここへはどうやって来たの?」 そう。 この紅魔館は壁に囲まれている。決してゆっくりが跳ねて越えられる高さではない。 それに正門には門番が…あ、こっちはアテにならないわ。 何にせよ、この近辺にゆっくりはいないはずである。なぜ、どうやってここに来たのか少し興味があった。 「れいむたちはね…」 「うん」 「気が付いたら、ここにいたんだよ!」 「そう、わかったわ」 『気が付いたらここにいた』という事は、意識的に侵入したわけではないということ。かといってこいつらが無意識にこんな所まで 到達できるとは考えにくいので、何者かが館内に持ち込んだ可能性が高い。 と言っても、こんなものを潜り込ませたところで何が出来るとも思えないので害意ある第三者の仕業ではないだろう。 おそらく妖精メイドあたりが物珍しさで持ち込んだとか、そのあたりだろう。 …そこまで思考を巡らせたところで視線をゆっくりに戻すと、2体揃って寝息を立てていた。経験上、こうなると当分目覚めない。 ぶっちゃけ、そろそろ飽きてきたので観察も終わりにしようか。いや、でも明日でちょうど一週間だから明日で終わりにしよう。 一週間少女なだけに。(上手い) :今日わかったこと: この2体は自発的に紅魔館に侵入したわけではない→無意識下の行動?それでここまで到達できるとは考えにくいだろう→何者かによって運び込まれた?おそらく妖精メイドあたり。何にせよ害は無いだろう 3月7日 土曜日 パターンからすると今日は出ないんじゃあないかと思っていたら、案の定現れなかった。 最終日の観察結果が『現れなかった』で終わってしまうのは少し残念な気が…しないわね。全く。 明日まで延ばすのもなんだかかっこ悪いので、すっぱりこれで終わってしまいましょう。ごきげんよう、何の役にも立たない研究。 :今日わかったこと: 特になし(研究対象が現れなかったため) そこまで書いて観察日記を閉じる。それなりの暇つぶしにはなったわ。たまにはこういう息抜きも必要ね。 「咲夜、いるかしら?」 「お呼びでしょうか」 どこからともなく現れるのは、友の従者十六夜咲夜。 「紅茶となにかお菓子を適当に持ってきて頂戴」 「かしこまりました」 一息つこうと、咲夜のほうに向き直ってお茶を頼む…その時感じた違和感。 「ちょっと待って」 「はい?」 今度は咲夜をじーっと観察する。 前から。後ろから。横から上から。 「あの…パチュリー様…」 観察結果から仮説を立て、咲夜に近づき耳をすませる。 「「ゅー………ゅー………」」 聞こえてくるのはあの寝息。 「…なるほど、ね」 じっと咲夜の顔を見上げる。咲夜のほうは、何かを恥じる様子も無く、何事もないかのようににこりと微笑をよこしてきた。 「…いいわ。お願い」 「失礼致します」 完璧で瀟洒なメイドは、その微笑を崩さぬまま図書館を後にした。 その胸から微かな寝息を響かせながら… -PADエンド- チル裏で『BADエンド』という言葉を見てこのオチを思いつき(思い出し?)ました。ので書きました。 ところで明日は例大祭ですが、みなさんサークルチェックは済ませましたか?小銭の両替は? 入場と同時にゆっくり本を買いにスペースまで直行する心の準備はOK? by 映姫さまの本を買って善行を積もうと思っている『えーきさまはヤマカワイイ』 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/457.html
ティガれみりゃ その2 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 すみません、まだ続きます。 文字数設定の関係上、改行が変な箇所があるかもしれません。 (あまりにも読みづらいようでしたら、修正版をupします) 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 2、異常震域 月夜の下に広がる森。 小動物達が俄にざわめきだし、 彼等がさきほどまで寝床にしていた木々が、バキバキと折れていく。 その原因は、全て一体の巨大生物によるものだった。 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 短い足で、不器用なステップを踏みながら、 その巨体とは裏腹に、実にゆっくり進んでいく巨大生物。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 その巨大生物、通称・ティガれみりゃは、 歌いながら楽しそうに夜の森を往く。 見た目は、中綿たっぷりの、だぶだぶくたくたの恐竜型ぬいぐるみ。 恐竜の口の部分がぱっくり開き、そこにれみりゃ種特有の、憎たらしげな下ぶくれスマイルが覗いている。 だが、その滑稽な見た目に反して、その体は尻尾をあわせれば20メートルにも届かんとする巨大さを誇る。 短い手足をバタバタさせて、「うぅーうぅーうぁうぁ♪」とやるたびに、足下の生物達は生命の危険にさらされる。 それゆえ、数多くの命が暮らすこの森にあっても、 意図的にティガれみりゃに近づこうとする者は、まずいない。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪ とぉ~ってもぷりちぃ~~ティガれみりゃ~~♪』 本人はといえば、そんなことは気にも留めず、相変わらずの御機嫌ノリノリで森を進む。 いっそさっさと通過するなら、 動物達や森で暮らす他のゆっくり達にとっても、まだマシだった。 けれど、ティガれみりゃにそんな空気を読む力があるはずもなく、 よったよった、えっちらおっちら。木を倒し、ゆっくりを踏みつけ、動物達を脅かして歩いていく。 「ゆゆゆっ! ティガれみりゃはゆっくりしないで、どっかへいってね!」 「ゆぅ~~! おかーしゃん、こわいよぉぉっ!」 ティガれみりゃの足下、逃げ遅れたれいむの親子が、木々の影に隠れていた。 こんな恐い場所からはさっさと逃げ出したかったが、 ティガれみりゃが歩く度に震動が起こり、なぎ倒された木々が倒れてくるせいで、 おちおち移動することもできずにいた。 「おかーしゃーん! おかーしゃーーん!」 「だ、だいじょうだよ! あかちゃんのことは、れいむが守るよ!」 身を寄せ合い、震える親子。 そんな親子の願いが通じたのか、 ティガれみりゃは親子を踏みつけることなく、 そのすぐ横を通過して、森の奥へと向かっていく。 「ゆぅ~~~? なんとか助かったよぉ~~!?」 「やったねぇ~~! おかーしゃーん!」 顔を見合わせ喜びあう、れいむの親子。 だが、次の瞬間。 どっすん! 「ゆべぇぇぇっっ!」 「ゆぐぎゃぁぁぁ!」 ティガれみりゃの尻尾が振り下ろされ、れいむの親子はぺちゃんこに潰される。 残されたのは、地面に貼り付けられた、あんこの染みだけだった。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~~♪』 もちろん、ティガれみりゃが一々そんなことに気付くはずもない。 ティガれみりゃは、その後も歩き続け、30分後目的地の前で足を止めた。 『う~~、ついたどぉ♪ さっすが、れみりゃ! すらっとのびたあしは、あるくのもはぁやいどぉ~♪』 自分の短足・鈍足を棚に上げ、自画自賛するれみりゃ。 ちなみに、ここまで歩いてきた平均歩行速度は、その巨体からすれば驚くほど遅い時速4kmしかない。 うぁうぁダンスをしながらの歩行とはいえ、この遅さこそ、この突然変異種が"ゆっくり"であることの証ともいえる。 『う~♪ みんなぁ~まっててねぇ~♪』 猫なで声をあげるティガれみりゃ。 ティガれみりゃの目の前は崖になっており、その中の一角に沢山の岩が積み上げられていた。 岩の奥には巨大な洞穴が広がっており、そこがティガれみりゃの巣穴となっていた。 "こーまかんのあるじは、留守のあいだのとじまりもかんぺきだどぉー♪" ティガれみりゃはそう言って、洞穴の入り口に岩を積み上げ、栓をしていたのだ。 『うー、岩はじゃまだどぉ! ぽいするのぽーい♪』 言うや否や、ひょいひょいと岩を持ち上げ、ぽいぽい投げ捨てていくティガれみりゃ。 その岩を積み上げたのが自分自身であることは、既に忘れてしまっているらしい。 『うー♪ あいたどぉ♪』 積み上げられた岩のバリケードは瓦解し、その先に大きな洞穴が姿をみせる。 長年をかけて山の地下水が空けた空洞は、ティガれみりゃが余裕で入れるほどの大きさだ。 『れでぃ~は、しっかりかぎをしめるどぉ♪』 洞穴の中に入ったティガれみりゃは、再び岩を積み上げ、洞穴の入口に栓をしていく。 『うっ? おかしぃーどぉ、岩がたりないどぉー?』 手近な岩を全て積み上げても、洞穴の入り口はまだ半分ほどしか塞がれていなかった。 ついさっき、ティガれみりゃ自身が岩を「ぽぉ~い♪」してしまったためだ。 『う~~! だれか岩をもってきてぇ~~!』 叫ぶが、当然そんな誰かがいるわけもない。 『うー・・・』 ティガれみりゃは、岩をあきらめ、洞穴の奥へと歩を進める。 すると、そこにはティガれみりゃの帰りを"待っていなかった"たくさんのゆっくり達がいた。 「「「うーっ!! ゆっくりしねっ!」」」 『う~♪ ふりゃ~ん、ただいまだどぉ~♪』 ティガれみりゃが満面の笑顔を浮かべた先、 そこには、いるはいるは、胴体付き・無しあわせて100体近いゆっくりフランたちがいた。 「「「しねっ! ふらん達をとじこめるティガはゆっくりしねっ!」」」 笑顔を向けるティガれみりゃに対して、ゆっくりフラン達は明確な敵意を露わにする。 全員が中空に舞い上がり、臨戦態勢をとりながらティガれみりゃを睨み付けている。 『うっう~♪ そんないじわる言っちゃダメなんだどぉ~♪』 その敵意をまるで理解していないのか、 ティガれみりゃは、よったよったとフラン達の下へ近づいていく。 だが、フラン達の集団は、すぅーと静かに移動し、ティガれみりゃが近づいたぶんだけ距離をとる。 『うぅ~~?』 不思議そうに顔を傾けるティガれみりゃ。 額に少し汗を浮かべつつ、今度はお気に入りのフレーズとポーズを決める。 『ぎゃお~♪ いっしょにあそんでくれないと、た~べちゃうぞぉ~♪』 バッチリだ。 ティガれみりゃは自分に惚れ惚れした。 こんなにもかっこよくて、ぷりちぃ~な自分の姿を見せられては、 照れ屋さんなフラン達もメロメロになって、自分に寄ってきてくれるにちがいない。 手を大きく広げて、いつでもフラン達を受け止められるように準備するティガれみりゃ。 ……だが。 「「「…………」」」 ゆっくりフラン達は微動だにせず、軽蔑するような冷たい視線をティガれみりゃに送るだけだった。 『うぅ~~~~……』 ティガれみりゃは困ってしまった。 そして、なんだか鼻の奥が少し熱くなっているのを感じた。 『うー♪ ふりゃーん♪』 すすすっ。 『まつんだどぉ~♪』 すすすっ。 『うっう~うぁうぁ~♪』 すすすっ。 ティガれみりゃは何度となく、フラン達とのスキンシップを試みようとアプローチを繰り返す。 しかし、フラン達は、そんなティガれみりゃに敵意だけを向けて、空中を静かに逃げ回るだけだった。 『うぅぅぅぅ……。なんで、れみりゃをむしするんだどぉ……』 目の端にたまる涙が流れ出さないよう、鼻の上に力を込めてこらえるティガれみりゃ。 その瞬間、ティガれみりゃは大事なことを思い出し、ぱぁーっと顔を輝かせる。 『うー! そうだどぉ! 忘れるところだったどぉ!』 ティガれみりゃはゴソゴソとポケットに手をつっこみ、一本の枯れ木を取り出して掲げた。 『うっうー♪ れみりゃとくせいのおだんご~♪ とぉーってもおいしぃどぉー♪』 ティガれみりゃが掲げたもの。 それは、ちょうど昨晩、ティガれみりゃが山間の窪地に築かれたゆっくり達の集落を遅い、 ゆっくり達を枯れ木に突き刺して作った、れみりゃ印の"とくせいゆっくりだんご"だった。 きっとフラン達はおなかが空いていて、それで遊ぶのを嫌がっているに違いない。 そう結論づけたティガれみりゃは、そのゆっくりだんごをフラン達に向ける。 「「「…………」」」 しかし、フラン達は何の反応も示さなかった。 それもそのはず。 本来、生粋の捕食種であるフランは、生きた獲物を捕らえ、嬲り、そして圧倒的な力を誇示しながら食すのだ。 野生の動物がそうであるように、誇り高き捕食者は、生きた獲物にしか興味を示さない。 死んだ獲物を食べるなど、食べ残しで生をなすハイエナか、意地汚い被捕食種ゆっくりくらいのものだ。 少なくとも、このゆっくりフラン達は、その矜持を忘れてはいなかった。 『うぅ? どうしたんだどぉ? おいしぃおかしだどぉ?』 ちっとも興味を示さないフランに、戸惑うティガれみりゃ。 『う~! たべないと、た~べちゃうぞ~!』 おかしなことを口走りつつ、ティガれみりゃは無理矢理ゆっくりだんごをフラン達に近づける。 けれど、フランはゆっくりだんごを食べることはなく、空中からティガれみりゃを睨むだけだった。 「うぅー……どぉーしていうこときいてくれないんだどぉー……」 どっすん! ティガれみりゃは目尻に涙を浮かべながら、地面に座り込む。 その刹那。 何匹からのフランが、この時を待っていたかの如く、 急にスピードを上げて飛行を開始した。 目指すは、この洞穴の出口! このフラン達は、空腹にも耐えながら、 ティガれみりゃに隙ができるこのタイミングを狙っていた。 「「うーっ!!」」 赤い弾丸となって、洞穴の暗闇を裂くフラン達。 『うーっ!?』 遅れながらも、数匹のフランが脱走しようとしていることに気付くティガれみりゃ。 しかし、いくら巨大なティガれみりゃといえ、敏捷性は小型のゆっくりフラン達の方が上。 ゆっくりフラン達の脱出は成功するかに思えた。 『うーっ!! 逃げちゃだめぇーっ!!!』 ティガれみりゃは、もっていたゆっくりだんご……もとい立ち枯れた木を、 いままさに洞穴の外へ出ようとしていたフラン達に投げつけた。 「「ううーっ!」」 いきおいよく飛んでいった木は、見事フランに命中する。 そして、尖った枝はフラン達に突き刺さり、彼女達を"ゆっくりだんご"の一つにしてしまった。 「「ううっ!!??」」 その光景を見て驚く、他のゆっくりフラン達。 彼女達は、今回の脱出計画がうまくいき次第、同様の手でこの洞穴から抜け出そうと考えていた。 『だぁーめぇぇぇ! ふりゃんはれみりゃとあそぶのぉぉっ!!』 洞穴の中にティガれみりゃの叫びが響き渡る。 『う~~~! 逃げちゃ、めぇ~~なの! はやくもどってくるのぉ!』 ティガれみりゃは、ゆっくりだんごと化したフラン達へ呼びかける。 「う、うぅぅぅぅ……」 「ゆ、ゆっぐり、じねぇぇぇ……」 他ならぬティガれみりゃの手によって、ゆっくりだんごとなったフラン達は、 当然動くこともできず、地獄の苦しみを味わっていた。 極めて高い生命力と再生力を持つゆっくりフランであったが、 数日前にこの洞穴に連れ込まれてからといたものの、食べたのは最初から洞穴内に住んでいたゆっくりや、小動物だけ。 ろくな食事もとらぬまま体を貫かれたフラン達は、本来の再生力も発揮できず、間もなく息を引き取った。 『う~~? ふりゃ~~ん?』 フラン達の様子がおかしいことに、ようやく気付いたティガれみりゃ。 が、時すでに遅く。ゆっくりだんごとなったフランは、二度とティガれみりゃの声に反応することはなかった。 『うぁぁぁぁぁっ! なぁんでだどぉぉぉっっ!?』 数匹とはいえ、フランが死んでしまったことを知り、 ティガれみりゃはこらえていたものを一気に噴出させる。 『うわぁぁぁぁぁぁん!!』 その鳴き声は凄まじく、洞穴を反響して振るわせる。 『しゃくやぁー! しゃくやはなにしてるんだぉー! ふりゃんがぁーーーっ!!』 来るはずもない、遺伝子に刻み込まれた従者の名を連呼するティガれみりゃ。 ドタンと大の字に倒れ込み、仰向けのまま手足をバタバタさせる。 『ひっく、ひっく、ひっく……うぅー…ふりゃーん……』 嗚咽を続けるティガれみりゃ。 『うぅ……うぅ……』 ティガれみりゃの涙は本物であった。 ティガれみりゃには、"ゆっくりフランを自分の巣に閉じこめて愛でようとする"習性があるのだ。 ゆっくりフラン達からすればたまったものではないが、 ティガれみりゃからすれば良かれと思ってやっていることだった。 『……うぅ……うぅ?』 ひっくひっくと肩で泣くティガれみりゃ。 やがて、涙もかれてくると、今度は眉根をへの字にしかめさせた。 『うぅー……泣いたら、おなかがへったどぉー♪』 今までの涙がウソのよう。 すっかりいつも通りの下ぶくれスマイルを作って、自分のお腹具合を心配しだすティガれみりゃ。 れみりゃ種……ひいてはゆっくり全体に見られるこの思考の切り替え・責任転嫁は、 あるいは"辛いことはさっさと忘れる"ことでゆっくりしようという、ゆっくり達なりの知恵なのかもしれない。 『うっうー♪ 今日はひさしぶりにぷっでぃーんが食べたいどぉー♪』 そう言うと、れみりゃは自らの体を起こそうとする。 起こそうとして……違和感を覚える? 『う~、はやくぷっでぃん食べにいくどぉ♪』 せーの! 体を起こそうとするティガれみりゃ。 『う~♪』 よいしょ! 『うーーっ!』 こらしょ! 『うーーっ! うーーーっ!!』 ティガれみりゃは何度も上半身を起こそうと試みる。 しかし、起きあがれるのはせいぜい頭部のみで、 筋肉のついてないお腹はすぐにプルプル震えだし、力尽きてしまう。 ずてーん! 体を起こすことができず、ティガれみりゃは後頭部を地面にぶつける。 『ぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~っ』 後頭部の痛みに、ティガれみりゃは鼻の上のあたりを真っ赤にしながら、声にならない嗚咽をもらす。 その後も何度か起きあがろうとするが、結果は同じだった。 『うわぁぁぁぁん! 起きられないどぉーーーっ!』 泣き出すティガれみりゃ。 ゆっくりゃザウルスにも見られる傾向であるが、 ティガれみりゃもまた、仰向けに倒れてしまうと中々立ち上がることができないのだ。 『しゃくやぁぁぁ! はやくおこしてくれないと、なーいちゃうぞぉーー!』 既に泣いてるって! 洞穴に残されたゆっくりフラン達が、心の中で一斉に突っ込む。 そして、捕食種の本能がそうさせるのか、起きあがれないティガれみりゃを見ると、 ゆっくりフラン達は一斉にティガれみりゃへの攻撃を始めた。 今、一斉攻撃をすればティガれみりゃを倒せると判断したのだ。 「うぅーっ!」 「ゆっくりしねっ!」 「ティガれみりゃはしねっ!」 「ゆっくりしないでしねぇぇ!」 「しねしねしねしねぇぇぇーーっ!」 ゆっくりフラン達の怒濤の攻撃。 噛みつき、体当たりし、にくまんの顔に拳を打ち込み、 レーヴァティンと呼ばれる突起物をガシガシ叩きつける。 これだけの集中攻撃を受ければ、たとえドス種であってもひとたまりもないだろう。 ゆえに、経験したことの無い脅威に対して、本能が誤った判断を下したとしても責めることはできない。 『うぅぅ~~~? ……ふりゃんたち、れみりゃをなぐさめてくれるのぉ?』 フラン達の攻撃を受ければ受けるほど、ティガれみりゃは徐々に泣きやんでいく。 ティガれみりゃに、ふらん達の攻撃は効いていなかった。 それどころか。 『う~~♪ くしゅぐったいどぉ~~♪』 とうとう下ぶくれスマイルを取り戻し、きゃっきゃと喜びはじめてしまった。 「「「うぅーーっ!?」」」 自慢の攻撃が全く効いておらず、流石に驚愕をあらわにする、ゆっくりフラン達。 もし、ティガれみりゃが起きられずに泣いている間、ティガれみりゃに構わず逃げ出していたらなら、 今頃このフラン達は気持の良い満月の夜空を謳歌していたことだろう。 しかし、もう遅い。 「しねっ!しねっ!」 『う~~~?』 ティガれみりゃのにくまん顔に馬乗りになり、拳を打ち続けるゆっくりフラン。 その姿を見たティガれみりゃは、肉まん脳をフル回転させる。 『うー! ひらいめいたどぉー!』 ティガれみりゃは、うんしょ、うんしょと、 苦労しながら体を回転させ、徐々に俯せの姿勢へとなっていく。 その間、ティガれみりゃの体にまとわりついていたフラン達は振り落とされ、 離陸に失敗したものは、そのままティガれみりゃの体に押しつぶされてしまった。 俯せになったティガれみりゃは、両手を使い、上半身を起こす。 と同時に、膝を立て、両手と組み合わせることで立ち上がっていく。 『う~~~~! やったどぉ~~~~!』 バンザーイ!と両手を大きく広げて、立てたことをアピールするティガれみりゃ。 『すっごいどぉー! れみりゃはやっぱり天才だどぉ♪』 「「うううううう……」」 喜びを爆発させるティガれみりゃに対し、 フラン達はせっかくのチャンスを無駄にしてしまったことを悔しがる。 『うっう~うぁうぁ♪ うっう~うぁうぁ♪』 どったばったと手足を動かし、洞穴の中で踊り出すティガれみりゃ。 ティガれみりゃが踊る度に、洞穴が揺れ、天井からは希に小さな石つぶが落ちてくる。 身の危険を感じ、洞穴の奥で一カ所にかたまるゆっくりフラン達。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ご自慢のダンスを踊りきり、最高にハイになるティガれみりゃ。 やっぱり自分ってば凄い! かわいいし! かっこいい! 頭もいい! こうまかんのおぜうさまにふさわしい、すてきなれでぃーだ! ティガれみりゃは御機嫌なまま、洞穴のすみっこに固まるフラン達に向き直る。 さぁ、こんどは何をして遊ぼう? そんなことをティガれみりゃが考えた時だった! 「……ぅー」 『うっ?』 ティガれみりゃは、頭の奥の方で、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。 「……ぅーぅー」 まただ。 やっぱり誰かが自分のことを呼んでいる。 だって、あたまのなかで声がするんだもん。 そう結論づけたティガれみりゃは、周囲をきょろきょろ見回したのち、 どったどったと慌てて洞穴の外へと出て行く。 「…う?」 残されたフラン達は、その様子を不思議そうに眺めていた。 洞穴の外。 ティガれみりゃはそらを見上げて目をこらす。 『うー……、うー……、うーっ♪』 空を飛ぶあるものを見つけ、歓声をあげるティガれみりゃ。 空を見上げる視線の先では、うーぱっくの親子が満月の夜空を横断していた。 『う~~♪ まっでぇぇ~~♪』 うーぱっく達を見つけたティガれみりゃは、 そのままうーぱっく達の後を追って歩いていく。 『う~♪ まつんだどぉ~♪ れみりゃもおそらをとぶんだどぉ~♪』 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 ティガれみりゃは楽しそうに、うーぱっく達の後を追う。 空を飛ぶうーっぱくと、地面をどすどす歩くティガれみりゃでは、どんどん間の距離が離れていってしまう。 現に、すでにうーぱっく達はれみりゃの視界から消えていた。 しかし、れみりゃには不思議な確信があった。 このままこちらへ歩いていけばよいのだと。 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 だって、頭の中にあのうーぱっく達の声が聞こえてくるのだから。 そして、この声の先には、だいたい美味しそうなおまんじゅう達がいっぱいいるのだ。 『う~~♪ まっててねぇ~ふりゃ~ん♪』 笑顔で闊歩するティガれみりゃ。 ふと空を見上げると、おしそうな真ん丸お月様が輝いていた。 まるでおまんじゅうみたい。 でも、色はぷっでぃーんに近いかな? そんなことを考えながらティガれみりゃは木々を押し倒していく。 こんなにもお月様が美味しそうだから、歌っちゃおう♪ ティガれみりゃは短くずんぐりむっくりした手足を、うぁうぁと動かす。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 一方、その頃。 洞穴に残されたフラン達は、ティガれみりゃがいなことを確認して、月夜へ飛翔を開始していた。 余談だが、その後しばらく、ゆっくりフランによる必要以上のれみりゃ種への虐待が続いたという……。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ3・(タイトル未定)』 ============================ (あとがき) byティガれみりゃの人 ……とか名乗っておいた方が良いのでしょうか? どうも、前回『ティガれみりゃ』を書いた者ですm(_ _)m とりあえず今回が2回目です。 1回目を書いた時点で、今回の範囲まではほぼ終わっていたので、 連日になってしまいましたが、upさせていただきました。 (少しでも楽しんでいただければ幸いです) その3は……しばらくお時間をいただくことになるかもしれません(汗 なお、作中のティガれみりゃとうーぱっくの関係ですが、 某有名怪獣映画のとある設定のオマージュにだったりしますw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1688.html
<< ゆっくりズvs >> 初投稿です。 俺設定発生。 『ありえない奴』が出てきます。 賢いゆっくりが登場します(ゆっくりの出来る事超えてる?)。 ドスがでます(それ以外のゆっくりは漢字を使えません)。 人間が負けたりします。 描写に不自然なところがあると思います。 無駄に長いです。 陽が地平線に沈む頃、一匹のうーぱっくが空を飛んでいた。 「う~♪う~♪」 体であるダンボールには黒くて丸い物体が大量に入っている。 運び屋としての一面もあるうーぱっくは、報酬さえ払えば何でも運んでくれる便利な存在だ。 このうーぱっくも、とある人から依頼を受け荷物を運んでいる最中だった。 が 「う~♪う~♪―――うっ!?!?」 その時突風が! うーぱっくはたまらず体勢を崩す。 「うー!!うー!!」 しかし大きく揺れた際に荷の一部が地上に落ちてしまった。 「うー!!う~……」 何たる失態。運び屋としてあってはならないミスだった。 しかし大部分は無事であるのだし、黙っていれば雇い主にはばれないだろう。 「うー♪」 気を取り直したうーぱっくは、再び高度を上げ目的地に向かって行った。 某所の山の中。 とある洞窟の中。 非常に広い洞窟の中に数え切れないほどのゆっくりがひしめき合っていた。 それもそのはず。 山中のゆっくりが集まっていたからだ(一般的な普通種のみで捕食種は除く)。 この山のゆっくり達は、一匹のドスの群れに属していた。 ざわざわと騒ぐゆっくり達だったが、一段高い場所にこのゆっくり達を率いてきたドスまりさが現われると静かになる。 そして、ドスまりさがゆっくりと口を開く。 「よく聞いてね! みんなで話し合った結果……山を降りて人間を攻撃する事にしたよ!」 その言葉を聞いたゆっくり達は喜んだ。 今まで人間と関わりあう事を禁止していたドスがついに思い腰を上げたのだ。 ―――だが、ドスをそうさせたものはなんだったのだろうか? するとドスの後ろから数十匹のゆっくりが姿を現した。 そして、そのどれもがドスほどはいかないが、普通種では考えられない大きさになっている。 それぞれのゆっくりは二メートル近くあり人間より大きかった。 このゆっくりたちは、ある日突然急激に大きくなり、ドスの持つ特殊能力などは使えないが、 ゆっくりにはないほどの運動能力(ゆっくり基準)と高い知能(あくまでゆっくり基準)を持つようになっていた。 このように頼もしい仲間が増えた普通サイズのゆっくりたちはドスに要求した。 『もっとたくさんの食べ物を』 『もっと広い家を』 『もっとよいゆっくりプレイスを』 加え彼らはこれより少し前に、山の麓で村を作り始めた人間によって住処を追われ、その際に多くの仲間を殺されていた。 そのこともゆっくり達を駆り立てた要因かもしれない。 今までは人間にやられるだけだった。 だが、もうそれはおしまいだ。 この山にいるゆっくりおよそ1000。 この巨大なゆっくり達。 そしてドスまりさの存在。 今こそ―――戦いのとき! 「明日人間の村を攻めるよ! みんなのゆっくりプレイスを取り戻すよ!!」 「「「「「「えいえい、ゆーーーーー!!!!」」」」」」 洞窟にゆっくり達の声が響き渡っていた。 文々新聞、一面 『巨大ゆっくり、村を強襲!!』 先日、幻想郷某所の村にドスまりさや巨大ゆっくり十数匹が村に攻め入るという事件が発生した。 この村は先月、森を切り開いて作られた村で、今後の森林開拓の足がかりとなるはずの場所だった。 村を襲った巨大ゆっくりは普通サイズのゆっくりを従えており、その数は1000を超えていた。 村人は必死に戦ったが、数や巨大ゆっくりの大きさに圧倒され、村は現在無人状態。 ゆっくりに占拠されてしまっている。 今後、加工所の職員や有志を募り、ゆっくりの駆除に乗り出す模様だ。 『まさかのゆっくり! 人間が敗北!!』 今日昼過ぎ。 村を占拠するゆっくりを駆除するため、有志の鬼井さんや加工所の人間が村に乗り込んだ。 だが、ゆっくり達は村の周りにバリケードの杭を建て、人間の侵入を阻み、 村の中から投石攻撃を繰り出してきた模様。 さらにはうーぱっくを使っての空中投石もあったの事。 それをかいくぐり何とか村にたどり着くものの、入り口を守る巨大ゆっくり達に追い返されてしまったそうだ。 中には腕の骨を折るなどの重傷を負った職員もいる。 今後、増長したゆっくり達が近辺の村の制圧に乗り出すのも時間の問題とされており、 近辺の村や加工所は対策に追われている。 『ゆっくりは何が目的なのか? ゆっくりと村を改築中』 村を占拠したゆっくり達だが、なにやら村に穴を掘っている模様。 ゆっくりは地中に巣を作る習性があるため、そのための穴とも考えられる。 同時に、森の木々を使って杭を作り、村の外周警備をさらに固めた模様。 夜間はみはりを立てる用意周到さで、やはり何かを企んでいるのは確実といえる。 『ゆっくりの群れが拡大。それに対し河童達になにやら動きが』 ゆっくりが人間の村を占領したという噂は、周囲のゆっくりにも伝わったようで、 多くのゆっくりが村を目指して移動してきている模様。 群れはさらに多くなり、今では1500ほどのゆっくりを確認した。 一方、増え続けるゆっくりに対し、人間の盟友である河童達が何やら動きを見せている。 なんでも、外から流れ着いた『あるもの』を使って、日々怪しい実験を重ねているらしい……。 夜。 森のふくろうが鳴いている。 それに混じり「だいたいみんなひどいよ。わたしはおんなだよ」という愚痴が聞こえる。 虫達の声に加え、どこからともなく「そーなのかー」という声も聞こえる。 「ちーん、ちーん」という言葉は変だが綺麗な声も聞こえる。 そんな幻想郷の住民の声を無視し、その『視線』はある村に向かっていた。 村の様子を見る。 モノクロ―――紫外線探知 『視えない』 村の様子を見る。真っ赤―――光源探知 『視えない』 村の様子を見る。黒―――熱探知 『視えた』 わずかな熱移動を示す青い小さな塊。 拡大する。 同時に視聴精度も向上させる。 視えた。 聴こえた。 視線の主は村に向かって駆け出した。 「ゆ、ゆ、ゆ」 夜、満月が浮かぶ空。 ゆっくりに占拠された村。 村の入り口にはところどころ太めの杭が打ち込まれており、人間の侵入を防ぐ働きをしていた。 といっても人間から見れば気休め程度にしかみえないのだが……。 その周辺を警備する夜警ゆっくり達。 「ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し!」 村の中は畑や家がたくさんあるが、畑は無残に食い荒らされ、家の襖は破かれ外から丸見え。 家の中も荒らされ放題だった。 さらに、村の奥にある広場には大穴が開いていた。 ここ数日でゆっくり達が掘った穴で、いずれここに多くのゆっくりが来る事を見越して作った住居だった。 その地下は非常に広く掘られており、1000以上のゆっくりが暮らせるように考えられていた。 しかしいまは建設途中なので中には誰もいない。 ゆっくり達は村を占拠すると、ここを自分達にあったゆっくりプレイスにしたのだった。 家の中では何匹ものゆっくりが寝ており、その広場の横にある村一番の大きな家では、 ひときわ大きい……おそらく二メートル以上あるゆっくりまりさとれいむがいびきをかいていた。 このまりさとれいむは、今回村を襲った巨大ゆっくりの一匹で、占領の際人間と最も戦った功労を認められ、 前線基地のリーダーとして村に居座っていた。 「ゆびゅ~……まりしゃしゃまは……さいきょ~……なんだじぇ~……」 「ゆ~……まりさ~……かっこいいぃぃ~……」 時折薄ら笑いを浮かべつつ寝言言っている。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し」 入り口のれいむはさっきから馬鹿正直に点呼を繰り返している。 と、同じ見張りなのにうとうとしていた成体まりさが目を覚ました。 「ゆ~……れいむうるさいよ!ゆっくりねむれないよ!」 「ねたらだめでしょーーーー!!まりさもゆっくりみはってね!」 「まりさはねむいんだよ!よるはゆっくりねむるんだよ!」 「りーだーにいいつけるよ!」 「ゆっ……」 「うごかないからねむくなるんだよ! まりさはれいむゆっくりしないでこうたいしてね!」 「ゆ……ゆっくりりかいしたよ……」 「ゆっくりちゃんとみはってね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 れいむの剣幕にまりさは眠たい目を無理矢理あけて、れいむと見張りを交代する。 眠ってゆっくりできないのは苦痛だったが、リーダーに告げ口されて『永遠にゆっくりできなくなる』のはもっといやだった。 普通種のゆっくりは夜行性ではないため、夜間は巣の中で寝るのが普通である。 だが、このゆっくり達は夜の見張りを立て、夜間の襲撃に対処するという事をしていた。 このれいむとまりさの他にも、見張りを行なっているゆっくりは村の外周各所にいる。 全てが二匹一組で構成されており、警備には万全を期していた。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょ―――」 この瞬間までは 「ゆ?まりさ?」 突然聞こえなくなったまりさの声。 れいむは不審に思いまりさが歩いていた方へと向かう。 「まりさ?ゆっくりでてきてね?」 火からちょうど死角になっているところ、その小さな暗黒に――― 「まりさ?」 体を中心から上下に真っ二つにされたまりさが横たわっていた。 まだかすかに生きているのか「ゆ……ゆ……」とうめき声をもらしつつ、体をびくんびくんと痙攣させている。 「ゆ“ーー!?」 驚いたれいむは背を向け、異常を報せようと村に走ろうとした時――― 何かに口をふさがれ、そのまままりさと同じ暗闇の中に引きずられていった。 「~~~~~~!!」 ぐしゃ 最後の見張り役であるゆっくりまりさが潰れる。 口を押さえられている為に声も出せない。 中身の餡子が地面に飛び散る。 だが、まだ生きている。 「ゆっ、ぐじ……じ、だ、げっ……」 既に虫の息で悲鳴も上げられないが、体は痙攣し、その顔は苦痛でゆがんでいた。 まりさを杭に突き刺した人物は、続いて村の中へと歩を進めていった。 村の中にある一軒屋。 本来ならば人間が住むこの場所は、いまやゆっくりによって蹂躙されている。 居間の中心に布団が投げ出され、その上にゆっくりの家族が寝ている。 父まりさ、母れいむ、赤まりさ三匹に赤れいむ二匹だ。 「ゆ~……。ゆ~……」 「ゆゆゆゆゆ~……」 この日も日中は、畑の野菜を腹いっぱい食べたり、村の広場で他の家族と遊んだりした。 遊ぶほかにも、この村の拡張工事も手伝い、仕事の汗をかいた。 誰にも邪魔される事なく、最高のゆっくりプレイスでずっとゆっくりする……そんな夢が今まさに現実となっていた。 「ゆふふふ……まりしゃぁ~れいむしあわせ~」 母れいむが寝言を呟く。 その時だった。 ヒュンッ 「ゆ~……ゆぶぇっ!?」 突然の衝撃と圧迫感。眠気で朦朧としているが何かがおかしいことはわかった。 「ゆ、ゆっくりおき……ゆゆっ!?」 体が動かせない。よく見ると自分達は丸ごと何かに包まれてしまっているようだった。 家族の周りに網のようなものがまとわり付いている。 しかも包まれた衝撃で、布団からはじき出され部屋の隅まで来てしまっている。 「ゆ! ゆっくりやめてね! ゆっくりやめてね!」 何がなんだかわからないがこのままではゆっくり出来なくなると思い、暗闇に向かって叫ぶ。 「ゆぅ~……れいむ?」 「ゆ! まりさ! なんかへんだよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆ……? ゆ!? なんでうごけないの!? れいむはゆっくりはなれてね!」 まりさとれいむはお互いの真正面を見つめあう感じで密着していた。 「だめだよ! れいむはうごけないよ! まりさこそゆっくりしないではなれてね!」 「まりさはうごけないっていってるでしょぉおおお! れいむがゆっくりはなれてね!!」 「れいむだってうごけないっていってるでしょぉおおおお!!」 二人がお互いを罵り合っていると。 「ゆ“~~~……」 と小さな声が聞こえた。 「「ゆ?」」 二人は一旦喧嘩をやめて不思議な顔をする。 そして視線を下に向けると…… 赤いリボンがわずかに動いているのが見えた。 なんと二人の間に赤れいむが挟まってしまっているのだ。 「ゆゆっ!! れいむのおちびちゃん!? ゆっくりしないででてきてね!」 「ゆ“ーーー!!」 なにやら体を動かしているが子れいむは出てこない。 「れいむ! れいむがまりさとこどもをはさんでるからでれないんだよ! ゆっくりどいてあげてね!」 「れいむはうごけないっていってるでしょ!! まりさこそゆっくりしないではやくどいてね!!」 再び言い争いが始まってしまう。 「ゆ~ん……うるちゃいよぉ~……」 「ゆっきゅしねらりゃれぇないよぉ~……」 他の子ゆっくり達が両親の声に目を覚まし始めた時だった。 シュルルルル 家族を包んでいる網の端側ががすごい勢いで回転を始めた。 それに対し反対側の網の端っこは家族を包み込むようにしっかりとホールドされていた。 結果、網はねじれるようになる。 雑巾を絞る感じだ。 そしてそれは中にいるゆっくりを――― 「ゆゆ!! なんかきつくなってきたよ!!」 「ゆっ! おちびちゃん! ゆっくりしないではやくでてね!」 「ゆ“~~~~~!!!」 網はどんどん家族を締め付けて行く。 「ゆ!! あみさんゆっくりしないでやめてね! れいむたちつぶさないでね!!」 「ゆ“ーーーきゅるちぃーーー!」 「まりぢゃだち“ちゅぶりぇちゃうにょー!」 「たずげでえ“え”え“え”え“え”!!」 赤まりさ達も外側から網によって両親に貼り付けられる。 「うぎぎぎぎぃぃぃ……」 まりさは潰されまいと全身に力を入れた。 その時。 ブチャ と、れいむとまりさの間から音がした。 「ゆ?」 二人が目線を下げてみると…… 二人の体の間にあったリボンの下から黒いものが染み出ていた。 「「……」」 「ゆびぃぃぃぃぃ!!! おきゃあちゃんとおちょうちゃんがいみょーとちゅぶちちゃあああああ!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーん!! まりちゃ“のいも”ーどきゃあああーー!!!」 「ぴゅだりはゆっくぢじねぇえええ!!」 「「どぼじでそ“ん”な“ごどい”う“お”お“お”お“お”お“ぉ”ぉ“ぉ”!!」」 子れいむの罵倒に両親は涙を流しつつ弁解する。 そんなことしている間にも網はどんどん締め付けを強くしていく。 「ゆぐぐ……」 「ゆっぐ、り……でぎにゃ……」 すでにどのゆっくりも声を上げられない。そして 「……ゆびゃ!!」 網は両親の体を切り裂き食い込む。最後に子れいむたちの体を巻き込み一本の綱のようになる。 限界まで網が細くなると、まきつきは自動的に止まった。 家族を圧殺した網からは、なんともいえない甘い匂いが漂っていた。 「ゆぅ~?」 一番大きな家で寝ていた巨大まりさは目を覚ました。 原因は強烈に匂ってくる甘ったるい匂いだった。 「ゆ! これはあまあまのにおいだね!!」 あまあまのにおいに釣られ、まりさは夜の村に飛び出した。 ちなみにれいむはね入りが深いのか眠ったままだった。 「ゆんゆん……ここから匂うね!」 一番近くの民家に飛び込む。 そこには床にこびりついた大量の餡子があった。 「ゆっゆ~ん♪ あまあまさんゆっくりたべるよ!」 なにやら綱のようなもからあまあまは染み出ているようだ。 まりさはその上からあまあまを舌で嘗めとっていく。 「うっめ! これめっちゃうっめ!!」 その時、舌に妙な感触が。 「ゆ?」 それはリボンだった。それもよく見るれいむのリボン。 「ゆゆ~?」 広がる餡子。 その中かられいむのリボン。 よくみると黒い帽子のようなものも混ざっているような? 「……ゆ“ーー!?!?」 まりさは自分が食べたものに気がついた。 「どぼじでみ“ん”な“しんじゃっでる”の“ぉ”ぉ“ぉ”!?!?」 まりさは外に飛び出し他の家を見て回った。 綱のようなものから餡子が染み出している。 無造作に踏み潰された塊。 何かに真っ二つにされた体。 共通している事は、どの家にいるゆっくり達もすでに永遠にゆっくりしている事だ。 「見張りはどうじだぁぁぁーー!!!」 入り口のほうに向かう。 しかし、入り口はもっと酷かった。 体が上下に裂かれたれいむとまりさが杭の上に突き刺さっていたのだ。 他は家の中のゆっくり達と同じく、潰されたり無残に引きちぎられたりしていて全員死んでいた。 「ゆ“うううううう~!!!!」 恐ろしい光景の連続に、完全に我を失ったまりさは愛しのれいむの元へ逃げ戻った。 「でい”ぶ~~~~!!びん“な“じん”じゃっでるの“ぉ”ぉ“ぉ”お“お”お“お”お“お”」 しかし、れいむは全く反応しない。 まりさに背を向けて眠っている。 「でい“ぶ”! ざっざどお“ぎでね“!!」 れいむは寝ている。 「ゆ“っぐりお”ぎろぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!!!」 まりさがれいむに体当たりした。 と ズルッ 「ゆ“!?」 れいむの体が真横に真っ二つになり、上半分が床に滑り落ちた。 「……」 訳がわからなかった。 いつものように寝て。 あまあまの匂いがしておきたらみんな死んでいて。 戻ってきたられいむもすでに死んでいた。 すでにまりさの脳はパンクしかけていた。 だから―――後ろに立っていた死神にも気づかなかったのだ。 目の前にある丸い『モノ』。 熱探知すると今の状態がはっきりわかる。 発熱する周りの赤い部分。 その中央にあるわずかに温度が低い丸い部分。 これは極度の興奮状態と芯まで冷える恐怖に支配された状態だ 死神は突然姿を現すと、持っていた槍でまりさの体の芯―――温度が低い丸い部分を軽く一刺しした。 「ゆびっ!!」 …… ……しんじゃう? まりさしんじゃう? …… やだ やだやだ やだやだやだ しぬのはいやだ!!! しぬ! しんじゃう! なにがどうなってるの!? れいむのからだもどうなってるの!? みんなどうなってるの!? なんでまりさがこんなこわいめにあうの!? どすのせいだ どすがここをつかわせてあげるなんていったせいだ どすがにんげんをこうげきするなんていったせいだ どすがわるいのに まりさはわるくないのに まりさはにんげんをたおせるつよいゆっくりなのに ゆっくりしてたのに これからもゆっくり、するの……に もっ、と……ゆっく……りぃ――― 死神は動かなくなった『モノ』を見ている。 その表情は仮面の下に隠れていてわからなかった。 次の日の朝 森の中を移動するゆっくりの集団がいた。 その数、ざっと1500。 成体、子、赤ゆっくり。加えて巨大ゆっくり。そしてドス。 巨大化した普通種が数十匹いた。 皆食料を持っており、楽しそうに会話を楽しみながら移動している。 「きょうはゆっくりお引越ししようね」 ドスの大きさは3メートル以上もあった。 ドスと巨大ゆっくりを中心とした群れは、その数のせいもあって、まさしく民族大移動のようだった。 「うばったにんげんたちのむらにいくんだね!」 「みょーーーん!」 「おっきいれいむたちがいればにんげんなんかいちころだもんね!」 「これからはありすが、にんげんたちにとかいはがどういうものかゆっくりおしえてあげるわー!」 「おっきいみゃみゃだしちゅき~」 「おちびちゃん!あぶないからぼうしのなかからでるんじゃないぜ! ゆっくりしてるんだぜ!」 「このまえのにんげんたちもばかだったよねー」 「わかるよー。ちゃんたちがこわいんだよー」 「やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ!」 「もっともっとゆっくりぷれいすをひろくしようね!」 彼らは人間に宣戦布告し、手始めにふもとの村を乗っ取った。 緒戦は大勝した。 その後の襲撃も軽くいなした。 もはやゆっくり達の思考は、『人間は自分達でもあっさり倒せるもの』に変わっていた。 そして今日は、その更なる下準備のため、乗っ取った村へと引越しをしているのだ。 「どすやおっきいみんながいればあんぜんだね!」 「どす~みゅらにはまだちゅかにゃいの?」 「もーちょっとだよ、もう少し待っててね!」 「ゆ~♪ に~んげん~なんか~♪ よわい~♪ よわい~♪」 「にんげんのやさいはすべてまりささまがいただくんだぜ!」 「いなかもののにんげんなんてありすにかかればいちころよ!」 「はやくゆっくりぷれいすがひろがるといいね~」 「ゆ~♪ ゆゆゆゆ~♪ ゆ~♪」 「ゆっくりはつよさをあっぴるなどしてない……」 と、雑談に花咲かせている。 中にはにんっしんしているゆっくりも混ざっているが、ドスや巨大ゆっくりまりさの帽子の上や中に入りゆっくりしている。 ゆっくりたちは明るい未来を夢想してやまなかった。 ドスがいる 大きなゆっくりもいる 何より自分達は人間に勝った。 もっともっと、ゆっくりプレイスを広くしていこう そして、そこでいつまでもゆっくりしていよう そんな…… 都合のいい白昼の夢を見続けていた。 やがて村へと到着する一行。 「ゆっくりついたよ!」 一番に村に入った巨大ゆっくりまりさが元気よく挨拶する。 だが、いつもと様子が違う事に気づく。 いつもならゆっくり達がゆっくりしている声が家や広場から聞こえているはずだった。 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 さらに大きな声で挨拶する。が、村からは応答がない。 「ゆゆ? みんなゆっくりねてるのかだぜ?」 「まりさ~どうしたの~?」 巨大ゆっくりれいむが尋ねる。 「みんなのこえがしないんだぜ!」 ぞろぞろと森を越えて姿を現すゆっくり達。 「まだみんなゆっくりねてるのかな~?」 「ゆ~そんなことないはずだよ! 少なくともみはりのみんなはおきてるはずだよ!」 「みょーーーん?」 「みんなどうしたの!」 姿を現したドスが巨大ゆっくり達に尋ねる。 「むらのようすがへんなんだぜ!」 「わからないよー。みんながどこにもいないんだねー」 「ゆゆ? それはほんとう?」 ドスは一番近い民家を覗いてみた。 「ゆ? 中に誰もいませんよ」 民家の中はものけのからだった。 ドスは考えた。 「ゆ~……みんな! 大きい子についていきながら村の中を見回るよ! ぱちゅりーは何人かで食料を新しい巣に運んでね! 「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ドスは役割分担を決め、村の検索隊と持ってきた食料を運搬するチームに分けた。 大きいゆっくりは今ではドスの補佐役といった感じで、群れのみんなはドスの指示を素直に受け止め的確に行動して行く。 そんな仲間達を頼もしく思いながら、自分も村の見回りを始めた。 「むきゅ? あれはなにかしら?」 食料運搬を任された、参謀巨大ぱちゅりーは妙な事に気がついた。 この参謀ぱちゅりーも巨大化したゆっくりなのだが、体の弱さはあまり改善されておらず、やはり頭を使う事多かった。。 ぱちゅりーが見たのは、自分達のやってきた森の木に村側を向いて付いている『黒いモノ』だった。 虫の匂いも草の匂いも土のにおいもしない。 舐めてみたが何の味もしない。 「むきゅきゅ~?」 「ゆ~! ぱちゅりー。ゆっくりしないではこうぼうよ~」 「むきゅ! ゆっくりいくわね」 考えてもよくわからないので、とりあえず与えられた仕事をこなす事にした。 ドスたちは村の中を探すが、先遣隊のゆっくり達はどこにもいなかった。 「ゆううう……みんなどこにいったんだろう……?」 「どす! こっちにもいなかったんだぜ!」 「こっちもいなかったよ!」 その時だった。 「ど、どすーーーー!!」 「「「「「ゆぎゃああああああああああああ」」」」」 「ゆ!?」 それは広場に作った新しい巣に食料を運びに行った参謀巨大ぱちゅりーと他のゆっくりの声だった。 声はとても切羽詰った様子で、ゆっくり出来ていない感じがした。 「ゆ!ぱちゅりーのこえだよ!ゆっくりしてないよ!」 「みんな行くよ!」 ドスたちは広場へと向かった。 村の一番奥にある広場にドス達は到着した。 「どうしたのぱちゅりー!?」 「むきゅ~~~~……」 「ごんなのがいはじゃないわあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「べにいいいいいいいいいいいいいいいずうううう!?!?!」 広場のすぐ入り口で参謀巨大ぱちゅりーと普通サイズのゆっくり達が錯乱状態になっていた。 周りに運んでいた餌が散乱している。 「どうしたんだぜみんな!!」 「わからないよー! ゆっくりしてよぉーー」 「あ、あれ……」 参謀巨大ぱちゅりーは目を閉じたまま上を見上げるように顔を向ける。 ドスはゆっくりと視線を上げた。 「!!!」 それはゆっくりにとっては悪夢のような光景だった(ゆっくりから見ると)。 広場には一本の木が生えている。 そして、その柱に貼り付けられているもの。 皮。 ゆっくりの皮。 ゆっくりの髪飾り。 中身の餡子を失ったデスマスクと髪飾りが棒に貼り付けてあったのだ。 その中にはひときわ大きい皮と髪飾りもある。 おそらくこの村を守っていた巨大まりさとれいむのものだろう。 そしてその木の根元には、そのゆっくり達の中身であったであろう餡子が固まっておいてあった。 その中には歯や目、舌なども混じっていた。 ゆっくりの餡子の塊の上に立つ、ゆっくりの皮をまとった木。 かつてゆっくり出来た広場は、死臭漂う地獄となっていた。 「どうな“っでるのお“お“お“ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?!?」 「おう“ぇえええええ」 「……」 「わがら“な”い”よ”ぉ“ーま”り“さ”がぁーーーー」 ドスはかろうじて正気を保ったものの、広場に来た普通ゆっくり達は相当ショックを受けたようで、 気絶するものや餡子を吐いてしまうものもいた。 「どすーーー」 先ほどの絶叫を聞きつけた他のゆっくり達が広場に集まってきていた。 「ゆ~。どす? なにがあっ…………びゃあああああああああああああ……うまい~」 「ゆ”ゆ”ゆ”ーーー!?!?」 「まりざがあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!!」 「どうじでごんなごどになっでるのぉ“ぉ”ぉ“!!!」 「えれえれえれえれ」 「ゆーーー!! あかちゃんゆっくりあんこはかないでね!! ゆっくりできなくなるよ!!」 「ごんなんじゃゆ“っぐりでぎないいいいい!!!」 「い“や”だぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“あ”あ“あ”ぁ“ぁ”ーーーーーー!!」 「ゆびぇ!! ふまないでええええー!?!? あか“ち”ゃんがあ“あ”あ“あ”!?」 広場にやってきてその惨状を見たゆっくり達はたちまち大混乱に陥った。 錯乱して精神異常をきたすもの。 ただただ絶叫するもの。 赤ゆっくりには特に刺激が強かったようで、既に餡子を吐いて絶命したもの。 混乱して飛び跳ねる他のゆっくりに潰されるもの。 その様子を見てわけもわからずわめくもの……。 まさしく、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。 「み、みんな! ゆっくり落ち着いてね!! 大丈夫だからゆっくりおちついてね!!!」 ドスはみんなに呼びかけるが、あまりに数が多いためその声は喧騒にかき消されてしまう。 補佐役の巨大ゆっくり達でさえ、何匹かは気絶したり、わめき散らしたりしてしまっている。 ドスがただおろおろしていると、参謀巨大ぱちゅりーが言った。 「む、きゅ……どす……おーらよ、ゆっくりおーら……」 参謀巨大ぱちゅりーもクリームを吐いているが、容量が多い分まだしゃべれる余裕があった。 「ゆ! そうだったよ!」 ドスのもつ特殊能力『ゆっくりオーラ』。 ドスの体から発せられる特殊なオーラによって、周りにいる生物をゆっくりさせる力があるのだ。 「ゆ~。みんなゆっくり、ゆっくりしていってね~」 ホワワワワ~~ン 怪しげな効果音(心象風景)と共にオーラが発せられる。 オーラは広場全体を包み、やがてゆっくり達が落ち着きを取り戻す。 「「「「「ゆ~ゆっくりぃ~~~」」」」」 しかし、これには最大の弱点があった。 そろいもそろってみんな「ゆっくり~」な状態になってしまうため、群れを混乱に貶めた原因であるモノを片付ける事ができないのだ。 かといってこのままゆっくりオーラを止めたら、再び群れは大混乱になってしまう。 「(ゆ~……このままじゃどうにもならないよ)」 オーラはいつまでも出せるものじゃない。 しかも連続して出す事も不可能だ。 再び群れが混乱に陥ったら納める事は出来ないだろう。 「(ゆ“~~~誰がたすけてぇぇぇぇ!!)」 ドスが心の中で助けを叫んだ瞬間だった。 シュバッ ズガーン 「ゆ!!」 突然の爆発音。 ドスはオーラを出す事も忘れそちらの方向を振り返った。 燃えていた。 ゆっくりの皮と髪飾りが貼り付けられた木が。 その下にあった餡子も燃えていた。 ゆっくりには火葬という概念はない。 仲間たちの死体はありがたく食料とするか、そのまま土に返すかである。 ドスもなんとかして仲間の死体を丁寧に葬るつもりだった。 しかし、今その死体が火の中で燃えている。 ゆっくりのデスマスクは炎の中であぶられ変形し、火で焼かれる苦痛でないはずの表情を歪めているようだった。 「ど、ど、ど、どうなっでるのお“お”お“お”お“お”!?」 「ゆ~? どす~? ゆっくりしていってね!」 ゆっくりオーラがなくなったため一部のゆっくり達が意識を取り戻す。 ゆっくりオーラでゆっくりしたゆっくり達は、先ほどまでの記憶なんぞ忘れてしまっている。 「ゆ~!! きれいなあかあかだね~!」 「でも、ちょっとあちゅくてゆっくりゅできにゃいね」 「ゆっくりはなれるよ! ゆっくりみるよ!」 「ゆ~ゆ~ゆ~! とってもあかるいよ~」 その下で燃えているものが何なのか判別できないゆっくり達は、真っ赤に燃え上がる木をみて楽しそうな声を上げている。 「みんななによろこんでるのぉぉぉ!? まりさたちが燃えちゃったんだよおおお!?!?」 「ゆ? なにいってるのどす? まりさたちなんかいないよ?」 「そーだよ。 れいむたちきれいきれいみてるんだからじゃましないでね!」 「ゆっくりさせてくれないどすはゆっくりしね!」 「な“ん”でぞん“な”ごどい“う”の“ぉ”ぉ”ぉ“ーーー!?」 燃えてるものが何なのかわからないゆっくりたちはドスを罵倒する。 そんな広場の状況を『彼』は静かに観察していた。 広場の状況を確認する。 彼は仮面をつけていた。 仮面は目の部分がモニターとしての役割も果たしており、ゆっくり達を認識するとデータを映し出した。 <対象危険指数> 『普通種ゆっくり―――危険指数……データ化不可』 『巨大ゆっくり―――危険指数100/01』 『どすゆっくり―――危険指数100/05』 <対象処理方法> 『普通ゆっくり―――放置』 『巨大ゆっくり―――放置』 『どすゆっくり―――作戦対象個体:捕獲(最優先)』 続く?